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【2018紫熊の勇士】川辺駿/ボランチ

先制弾の直後、思わずガッツポーズの川辺駿。この後、しっかりと勝ちきりたかったのだが。

 

今期初めての敗戦。選手たちの表情は誰もが暗かった。声も掛けづらい雰囲気もあった。

「いつかは負ける時がくる。でも、それが僕ら(ルヴァン組)であってはならなかった」

馬渡和彰は想いを告白した。悔しさに唇を噛みしめつつ、自身も含めたプレーの「隙」を悔やんだ。失点シーン、自分に何ができたか。そこをずっと、考えているような雰囲気だ。

パロマ瑞穂スタジアムのミックスゾーンは暗い。グラウンドと諸室がある間の、バスに乗り込むまでの通路で話を聞くのだが、灯りはグラウンドの照明灯から射し込む光が頼りで、その状況が重苦しさを増幅させる。

そんな通路を、1人の男が歩いていた。記者は誰も彼を呼び止めず、コメントをとろうとしなかった。いつもなら必ず、多くの記者に囲まれるはずなのに。

そういえば佐藤寿人に対しても、誰も声をかけはしなかった。広島ではどういう場合であっても試合後の彼の周りには記者がいた。勝っても負けても彼は足を止め、コメントを紡いだものだ。なのに、この試合では。途中交代とはいえキャプテンも務め、うまくいかないチーム状況の中で奮闘していたのに。

思わず、声をかけた。握手。そして、いろんな話を聞いた。ただ、チームの状況や寿人のおかれている立場などを考えても、広島のことを聞くのは自重した。名古屋の現状について彼の想うところを聞いたにとどまった。リーグでは先発で出ていない現状、勝てない状況、その中で迎えたこの試合で初めてトライしたという4-4-2、2トップの一角とはいえ中盤におりて試合をつくらないといけない現実。様々なことを話してくれたが、それはオフレコでのことであり、ここで書くことは控える。ただJ1通算400試合出場を祝福すると、「名古屋では、まだリーグ戦でそれほど出ていないんですけどね」と彼らしい笑顔を見せてくれたことだけを記しておきたい。

話を戻そう。もう1人の男も、記者に囲まれずにバスに向かっていた。でも、彼に対しては明確に話を聞きたかった。

「ハヤオくん」

川辺駿は振り向いた。

「ちょっといい?」

「はい」

訥々と、彼は言葉を発した。

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