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パトリックを使い続ける理由。

 

明日の清水戦に向けてのトレーニングは、試合前日が非公開になったこともあり、先発メンバーは正直、ほとんどわからない。もしかしたら、パトリックはベンチスタートになるかもしれない。それがわかっているのは、おそらく城福浩だけだろう。たとえ前日に主力組に入っていたとしても、次の日には外される可能性もあるからだ。そのことを前提として、以降の話を進める。

パトリックをどうして使い続けるのか。もちろんそれは、パフォーマンスが落ちているからではない。むしろ昨年とは比較にならないほど、彼のコンディションはいいし、結果も出している。だからこそ、思うのだ。どうして休ませないのだろう、と。

何よりも走る。強烈そのものの走りだ。よく「重戦車」という表現をしてしまいがちになるが、よく考えたら戦車の走りは快速ではない。パワフルでありつつ、初速も速く、フリーランニングならなお速い。アメリカンフットボールのランニングバックのように、スピードとパワーを両立させているのがパトリックの「走り」だ。

これは、他の誰にも真似できない、パトリックだけのストロングである。なぜならば彼は、ただ裏に走るだけではないのだ。相手がボールを持った時のプレス。奪われた後のプレスバック。かわされても諦めず、次に次にと食らいつく。稲垣祥が中盤でやる何度かわされても心が折れないプレッシングを、パトリックも実践しているのだ。

たとえば長崎戦での走行距離は10.885km。それは長崎FWのファンマが記録した10.101kmと大差があるわけではない。しかし、スプリント回数はファンマの6回に対し、パトリックは28回である。今節、FC東京の永井謙佑が36回のスプリントというとてつもない数字を残しているが、彼以外でパトリックの数字を上回ったFWはいない。90分プレーした試合において、スプリントの回数が20回を下回ったことがない。それほどのタフなプレーができる選手が、他にいるだろうか。

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