【THIS IS FOOTBALL】日本代表に必要な「稲垣祥的存在」
パラグアイ戦に勝利したことは、いいことだ。
勝ったことで「課題が隠されてしまう」と危惧することもいる。その理屈もわからないことはないが、アジア最終予選・オーストラリア戦以降、内容を伴った勝利はなかった。今年に入ってからは4戦で1分3敗。こういう状況下で「勝てない」ままだったら、自分たちのいいところも失ってしまう。わずかに残っていたはずの「自信」を破壊されたままでワールドカップに臨んでしまえば、結果は明白だ。2010年、散々の大会前を送っていた岡田武史監督率いる日本代表も、最後のトレーニングマッチ(非公開)で手応えをつかんだことが本大会での結果につながったと岡田氏は述懐してる。そういう意味でも、パラグアイ戦での逆転勝利は良かったと筆者は思う。
ただ、内容を精査すると課題はやはり大きい。特に守備面が深刻に見える。
ハリルホジッチ前監督時代から日本代表はずっと、失点が続いた。ワールドカップで勝点をあげるには、そして勝利するには、失点をできるだけ抑えなければならないのは明白である。失点0であれば、最低でも1ポイントはとれるのだ。
「2点取られれば、3点とりかえせ」
言葉は勇敢だし、その精神は嫌いではない。しかし、結果がほしいのであれば、まずは守備が優先。特に先制点を与えてはならない。今季に入ってからの代表はずっと、先制点を許している。これが苦戦の要因であることは言うまでもない。
では、どうして失点を重ねているのか。
西野朗監督が率いてから3試合6失点。全ての試合で2失点ずつしているのだが、内訳はPKで2点、FK直接によって1点、CKからのカウンターで1点、ロングスローから1点、FKのこぼれを叩き込まれての1点。ほぼ全てがセットプレー(攻撃時も含む)からの失点であり、PKも単純なカウンターをくらってのもの。確かに、流れの中からは崩されてはいない。
しかし、ここがくせ者なのだ。膠着状態にある時、ほとんどの試合を決定づけるのはセットプレーと自分たちのミスから生まれるカウンターである。そこでの失点は、「崩されていない」という前提があるが故になおのこと、チームに大きなショックを与えてしまうものだ。
セットプレーでの失点も、多くの場合はそこにミスが存在する。それは直接FKの場合もしかりで、ガーナ戦での失点は壁のつくり方が問題というよりも、壁の中に入った相手選手に押されて間をあけられてしまい、GK川島永嗣に迷いを与えてしまったことが大きい。
パラグアイ戦での2失点も、明白なセットプレー時のミスが存在した。
(残り 4161文字/全文: 5217文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ