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【2018紫熊の戦士】東俊希/A NEW HOPE

 「シュンキッ!」

城福浩監督の厳しく、刃で刺すような声が吉田サッカー公園に響く。ターゲットとなったのは広島ユース3年生の東俊希だ。来季、トップ昇格の有力候補であり、左足のスペシャリティを持っている若者。U-18やU-19の日本代表にも選出経験を持つ有望株である。8月20日、天皇杯・名古屋戦の2日前に行われたミニゲームでの出来事だ。

「守備でも主導権を握るんだよっ。腰が引けて、それができるかっ」

空気が張り詰める。下を向く18歳。ミニゲームが一段落し、水を飲みにいった東を指揮官が引き留めた。身振り、手振り。身体の向きなども含め、細かな指示を熱っぽく与える。神妙な顔をして若者はうなづいた。

「守備のことを(厳しく)言われました。広島は守備で主導権を握るチームだ、と。なのでたとえ1人で2人を相手にするようになっても守れないといけない。守備の駆け引きも楽しめるようになれればいいし、そこを意識したいです」

トレーニングの後、東は言葉を吐き出した。才気に溢れるサイドアタッカーは「守備で主導権を握る」という発想は、おそらくまだピンと来ていないのかもしれない。しかし、そこを理解しないとトップチームに絡めないことも彼は知っている。

今季のJリーグは、高校生であっても堂々と公式戦に出ている選手は少なくない。たとえば名古屋の菅原由勢は高校3年生でありながら今季のJ1開幕戦に出場。13試合出場と、堂々たる実績を残している。だからこそ、東も想う。「試合に出たい」と。

「自分も公式戦に出てもおかしくない世代。点をとったりアシストしたりと、試合に出ればチームに貢献したいですね。もし試合に出たら、とにかく勝ちたい。負けていい試合なんてない。勝ってアピールしたいんです」

城福監督が激怒したシーンを見て、東が出場する可能性が高いことを感じた。実際、チーム事情を考えれば彼に大きなチャンスを与えざるをえない。松本泰志がアジア大会の日本代表に招集され、森島司は負傷。川村拓夢も胃腸炎で体調を崩している状況の中、選手の絶対数が足りない。中2日でC大阪戦があることを考えれば、主力はできるだけ使いたくないのだが、中盤とサイドに人材がいない。もし松本か森島、川村がいて彼らの誰かをボランチに使えれば、最終ラインに吉野恭平を使うことができる。森島がいればサイドハーフに彼を使うこともできる。

だが、もし東がレベルに達していなければ、彼は先発に使われることがなかっただろう。たとえばタフネスを誇る稲垣祥を使ってもいい。佐々木翔もエネルギッシュだ。中2日で千葉和彦が出場しているように、天皇杯の重要性を考えれば彼らに無理をさせることもあっただろう。

城福監督は東が「できる」と踏んでいた。それは日々のトレーニングで何度も彼がトップチームに参加し、パフォーマンスを確認する中で可能性や現実的な力を見極めた。できるからこそ、厳しく指摘したのである。

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