【サッカー人気1位】アンタッチャブルではない「Jリーグ史上…

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森崎和幸物語/第5章「熊本での怒り」

 

 降格が決まった後の天皇杯は、広島にとっては命運をかけた戦いであった。特に入れ替え戦翌週の対磐田戦、2万人から3000人と観客数が激減した広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)での戦いは、大きな意味を持っていた。

もし、ここでふがいない戦いで敗れてしまえば、サポーターの「ペトロヴィッチ解任」を望む声はさらにヒートアップし、混乱は必定。実際、インターネットでは降格させた監督の続投を決めたフロント、特に久保允誉社長(現会長)への批判は、言葉を極めて苛烈に響いた。「ミシャを解任するのなら、僕は(移籍を含めて)考えないといけない」と過激な言葉でペトロヴィッチ擁護を展開したカズへの誹謗も、決して少なくはなかった。当時、サンフレッチェのクラブ内を除いて、ペトロヴィッチ続投を支持する声は、ほぼ皆無だったのだ。

磐田戦当日、「ここで負けたら、黙ってはいない」という空気がサポーターの中に流れているという情報もあった。それが本当だったかどうかは、わからない。だが、一部のメディアには、そのことを想定している向きすらあったのだ。

だからこそ、この試合に完勝した意味は大きかった。2得点全てを強烈なFKによって決め、川口能活を呆然とさせた森崎浩司は、この偉業だけでも「レジェンド」に値する。もし磐田戦で無残な敗戦を喫してしまったならば、サポーターやメディアの圧力に果たして抗することができたか。選手たちが2008年の戦いに向けて、駒野友一を除くほぼ全員が残るという決断を下すことができただろうか。その後のクラブの歴史を考えた時、浩司が果たした仕事は、千金以上の重みを持つ。

この試合でカズは入れ替え戦に引き続き、ボランチでプレー。彼のハイパフォーマンスを見れば見るほど、「どうしてもっと早くボランチに」「ストッパーで起用したことが降格に」という声があがった。だが、当時の多くの人々は検証していなかった。ボランチでプレーするカズの何が素晴らしかったか。以前のカズと同じなのか、どうか。それはまた、稿を改めることにしよう。

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