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【チームの未来】馬渡和彰/「お前のは挫折ではなく左折だ」

城福浩監督は「これまでとは違う選手の起用もありうる」と明言した。6試合勝利なしという現状において、「積み上げたもの」から「変化」を求める可能性を示唆したのである。

では、どこをどう、変えていくのか。

前節の対磐田戦の内容は、決して悪くはない。むしろ、60分までは非常によかった。そういう意味では「変える必要はない」という意見も当然ある。だが一方で、サブ組がトレーニングマッチでずっと結果を出し続けているということも確かなのだ。もちろん、相手のレベルも考えないといけないが、継続して結果を出している選手を、こういう状況だからこそピックアップすることも重要だろう。

そういう意味では、馬渡和彰を推薦したい。ここ4試合のトレーニングマッチで得点に絡み続け、岡山戦や松江シティ戦では直接FKを叩き込み。先日のHONDA戦では自ら奪ったPKを決め、ヘディングでのゴールも決めた。課題だった守備のところでも、対人のところだけではなく、戦術的な守備のやり方を学び、シーズン当初のように穴をあけてしまうことも少なくなった。サイドバックでもサイドハーフでも、より実戦的な選手になったことは間違いない。

彼の大きな武器はなんといってもキックである。左右両足で正確なボールを蹴り分け、利き足の右であれば強烈なシュートも打てる。そしてプレースキックでは直接決める可能性を持つ、広島では数少ない選手だ。

対松江シティ戦で左サイド45度のあたりから強烈なFKを決めたシーンが印象に残っている。その試合で1度、やや正面よりの位置でFKを蹴った時は枠の外にそれた。だが、その時の状況で相手GKの意識や癖を見極めた馬渡は、壁の上を越すという雰囲気を出しながらも壁の横を速くて低いボールで貫き、逆サイドに叩き込んでいる。もともとキックのスピードには自信をもっている馬渡だが、この時のキックはまさに弾丸。止めることは不可能だった。

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