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【日本代表】森保NIPPON/キルギス戦の3点目が示唆するもの

 まさに地鳴り。スタジアムをその土台から揺るがすような歓声が、響き渡った。それはゴールシーンではない。大迫勇也と堂安律、さらに柴崎岳。彼らがピッチに入ってきて、それがスタジアムでコールされた瞬間の爆発である。

 この時、豊田スタジアムに集まった約4万人近い人々は、自分たちの意志とは関係ないところで、叫び声をあげたはずだ。

 お前達なら、やってくれる。

 お前達なら、停滞を振り払ってくれる。

 そんな想いの炸裂である。

 その炸裂がエネルギーとなったのだろう。この試合で最も価値のある得点が生まれた。その価値とは、何か。具体的な事象でいえば、落ち着いてブロックをつくった相手から組織としてゴールを奪ったという事実である。そう、大迫勇也が決めたチームとしての3点目だ。

 前半のメンバーは、2-0になった後も攻めようとした。攻め急いだ。だが、キルギスの堅いブロックを崩すことはできない。

 キルギスは自分たちのミスから2失点を喫した後、決して投げやりになったり、バラバラになることもなく、しっかりと組織を修正。5-4-1のブロックをきっちりとつくりあげた。本来、彼らがやりたかった全員守備を実践。クロスに対してもしっかりと中を締めて、瓦解を防いだ。

 選手たちは「自分たちのやり方」を懸命にトレースしようとした。例えば、攻撃の時にボランチのどちらか1枚が最終ラインにおりて3バック化し、両サイドバックを高い位置に押し上げる。「可変システム」である。広島時代と違って代表の4バックでの可変システムは、サイドバックの位置は3-5-2のウイングバックの位置に止まってサイドハーフとの関係性をつくるのが基本線だ。カウンターをくらっても後ろにはしっかりと3枚、残っている。だからこそ、前線の選手は思いっきり暴れることもできるのだ。

 だが、相手が引いてブロックをつくり、攻撃よりも守備に力を傾注している場合は、後ろに3枚を残す必要はあるのか、ということだ。広島の3バック可変システムは、ボランチとリベロがセンターを固めることで両ストッパーが大きくサイドに開き、攻撃に参加するからこそ意味がある。また、リベロとボランチも攻撃の縦パスを入れるために2人が並び、もう1人のボランチ(ピボットと呼ぶ)が相手のブロックの中でボールを受けることでブロックに脅威を与えながら揺さぶりをかける。つまり、攻撃をスムーズ化かつ厚みをもたせるために、可変システムは存在するわけだ。しかし、キルギス戦の前半は、そのルールに現場が絞られるあまり、厚みと躍動を生み出すことが難しくなった。

 組織にはルールがある。ルールは守らなければならない。だが、どんなルールであっても、全ての状況に100%の対応を規定することはできない。瞬間とは、どういう場合においても、その時限りのものであり、それに全て対応できるルールをつくることは不可能だ。規定できないルールの隙間を埋めていく作業を「運用」と呼ぶ。サッカーの場合、ベンチからの指示には限界があり、瞬間の連続だ。だからこそ、「運用」が本当に大切になってくるのだが、一方で常に変化するピッチの中で正しい運用ができる選手は、まさに特別なタレントだ。

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