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【THIS IS FOOTBALL】スポーツを書くにあたるアプローチ

連戦は厳しい。

何がどう厳しいか。試合での出来事ではないのである。むしろ、試合以外のことの方がきついのだ。移動であり、トレーニングの状況であり、チーム内のコミュニケーションの問題だ。

その現実を取材しようとしても、選手も監督も本音を言ってくれない。言えばいいわけと捉えられてしまうのが日本社会の、というよりも日本スポーツ界の常だ。敗因を論理的思考によって説明すると必ず、こういう意見が出てくる。そして最後には「気持ちの問題」とも。スポーツの分析・評論の底がどうしても浅くなってしまうのは、もちろん筆者を含む伝える側の問題が大きいのだが、ファン・サポーターにとって「スポーツ分析・評論」を読む、考えるという文化がまだ始まったばかりだということも、あるのではないか。

筆者自身、そういう分析記事を読むよりも、たとえば「江夏の21球」や「28年目のハーフタイム」のようなドキュメンタリーを読む方が好きだ。典型的な文系人間である自身にとって、スポーツに対しての科学的・論理的なアプローチは耳馴染みいいものではないし、なじまないと思ってきた。しかし、今のようにチームにずっと帯同し動向を追うようになってくると、スポーツに対して「技術」「戦術」「メンタル」だけに焦点を当てては本当の姿が見えてこないことも、理解できるようになってきた。正確にいえば、プレーやパフォーマンスという映像で見えるものだけを考えていては、現実を見ることができない。そんな事実に気づき始めたと言った方かいいだろう。

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