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【ACL第2節・メルボルン・ビクトリー戦】東俊希/彼は、本物。

特別な驚きは、なかった。

東俊希は必ず、早い段階でゴールすると信じていた。ただ、武器の左足ではなく、右足だったことは驚きに値したが。

ACLのような国際舞台でゴールを決めることは、決して簡単ではない。独特の緊張感。スタンドの雰囲気も違うし、運営もいつものJリーグではない。同じホームスタジアムであったとしても、実は同じ空気感ではない。

相手も違う。身体も大きく屈強で、その国の代表クラスがズラリとそろう選手たち。国の威信もかけて、「やらせるか」という気迫を込めて、対峙してくる。その中でゴールをこじ開けなければならない。難しい。

ACL第2節・対メルボルン・ビクトリー戦。開始早々、広島はビッグチャンスを迎えた。相手のバックパスのミスをパトリックが拾い、一気にボールを運ぶ。カウンターだ。右サイドを抉る超人・パトリック。よくあるケースが、パトリックのスピードに味方がついていけず、サイドでチャンスをつくっても中に選手がいないという事態。しかしこの時は、まず松本大弥が一気のダッシュでPAの中に突入。そしてもう一人、中央から入り込んできた若者がいた。東俊希だ。

18歳のアタッカーは、どんな時もまず、ゴールに向かう。前に誰がいようと、決して逃げない。戦う意識を研ぎ澄まし、どこに立てばゴールできるのか、そこをまず探す。左ワイドにポジションをとった時はチャンスメイクがファーストチョイス。シャドーならゴール。明快すぎるほどに、明快だ。

パトリックのクロスもよかった。マイナスの折り返しは相手DFにひっかかることなく、中央の東のもとにピタリ。決意をもって入ってきた若者にとって、最高のボールだ。

迷いない右足。苦手なはずの右足。シュートは、18歳の決意を乗せてゴールネットを揺らした。

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