SIGMACLUBweb

【雑感】ベストイレブン企画の言い訳

サッカーダイジェストさんの企画に協力させていただき、サンフレッチェ広島の平成ベストイレブンを選出するという光栄に恵まれた。

その依頼は本当に嬉しかったのだが、同時にまあ、苦しいこと苦しいこと。

選べやしない。

たとえばGKは前川和也・下田崇・西川周作・林卓人。みんな、日本代表。

DFは柳本啓成、上村健一、ポポヴィッチ、伊藤哲也、ストヤノフ、槙野智章、森脇良太、盛田剛平もいるし、千葉和彦、塩谷司、水本裕貴、そして佐々木翔。多士済々。

ワイドは森山佳郎、片野坂知宏、路木龍次、服部公太、駒野友一、ミキッチ、柏好文、山岸智もいる。

ボランチなら風間八宏、森保一、桑原裕義、サンパイオ、森崎和幸、青山敏弘。

シャドー(トップ下)には、ノ・ジョンユン、ハシェック、チェルニー、藤本主税、コリカ、森崎浩司、柏木陽介、高萩洋次郎、ドウグラス、柴崎晃誠。

FWなら高木琢也、久保竜彦、佐藤寿人の3大エースに加え、李忠成や石原直樹、浅野拓磨、パトリック、ピーター・ウタカのインパクトもすごい。

それぞれ思い入れもあるし、ストロングポイントも持っている。11人に絞れるわけはないのだ。

だいたい、この手の企画で全ての人々が同意する人選など無理。かつて日本プロ野球のベストナイン企画などをよく見たが、納得できた試しはなかった。広島カープのオールタイムベストナインでも、気持ちにストンと落ちることは難しい。どこかで割り切るしかないし、批判や反論を受けても仕方がないと考えるしかない。

あと、こういう企画に関しては私情が入りがちではあるが、プレーの好き嫌いはともかくとして、たとえば移籍したからとか、(広島においては過去も現在もいないが)取材がしにくかったりとか、そういう理由で選別するべきではないとも思う。移籍うんぬんについては、その時の事情もあるし、選手個々の選択もある。そことプレーでの貢献やチームの歴史の中でのインパクトは別だ。もちろん、サポーターが選ぶベストイレブンということであれば、個人の想いがたっぷり入ったものだったとしてもいい。しかし、メディアに掲載される以上、そこにはこだわりたかった。

とはいっても、正直に告白すれば、何時間たっても決めることができなかった。フォーメイションにしても、確かに2008年以降は3-4-2-1だが、スチュアート・バクスター監督時代の徹底した機能美に惚れた4-4-2でも悪くない。悩みに悩み、そしてこう割り切った。

監督をまず選択しよう。バクスター、トムソン、ペトロヴィッチ、森保一がまず俎上にあがった。そしてこう考えた。もちろん、優勝を経験したバクスターや森保は素晴らしい。敬意を表するべき。特に日本人監督として3度の優勝を果たした森保は、日本サッカー史に残る監督だといっていい。その実績を尊重しながら、優勝に至るまでのベースをつくったミハイロ・ペトロヴィッチを監督にしようと思った。戦術のベースをつくると同時に若者を次々と抜擢。タイトルこそとれなかったが、その手腕は育成型クラブを掲げる広島らしい。できることならば、ペトロヴィッチ監督の元で森保一ヘッドコーチを置き、彼に守備と選手のメンタルケアを担当させることができれば、いいバランスがとれそうだ。

その上で、戦術をペトロヴィッチが掲げるスタイルに限定した。広島の栄光をつくったタクティクスに合う選手を選ぶことで、選択の幅を狭めようとした。バクスター時代の選手やその選手たちを応援していた人々には申し訳ないが、そういうコンセプトを決めないと選べない。

(残り 1446文字/全文: 2897文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ