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【Jリーグ】4連敗を受け、考えるべきこと。

4連敗。しかも残り5分のところからの同点・逆転。美しい青葉城の存在が、紫の悲しい色で染まった。

それにしても不思議なのは、城福浩監督が率いてからの広島が、「連勝・連敗」クセがすごいということだ。昨年はもちろん、今季も5連勝の後の4連敗。実は甲府やFC東京時代にも同様の癖はあり、FC東京時代の2010年には6試合連続負けなしを記録したかと思えば、9試合連続勝ちなしという結果を受けて監督の座から退いた。甲府時代には2012年、J2ながら24試合連続負けなしという大記録を打ち立ててJ1復帰。2013年のJ1では8連敗という泥沼も経験してしまうが、フロントからの絶大な信頼を受けてチームを立て直し、第19節以降に5試合連続負けなしを2度、16試合5勝8分3敗という「負けない甲府」を演出してJ1残留を果たした。さらに翌年は、終盤に3連勝を含む7試合連続負けなしを記録して甲府にとって初となる2年連続J1残留を成立させた。そして昨年、5連勝と4連勝を1度ずつ、9試合連続負けなしを記録しながら、終盤は6連敗・9試合連続勝利なし。極端なのである。

なぜ、こういう結果になるのか。

確かに城福監督は情熱的という言葉の裏腹にある「激しやすさ」は個性として持っている。しかし、激しやすい監督の典型であったミハイロ・ペトロヴィッチにしてもエディ・トムソンにしても、これほどの「連勝・連敗」癖はない。クールな指揮官だったヴァレリー・ニポムニシの方が成績は乱高下していた。監督の性格とか、そういうものが反映されるとも思えない。「弱いから連敗する」という意見も聞いた。それは確かにそのとおりだが、では5連勝は「強いから連勝した」ということなのだろうか。C大阪・松本・大分・G大阪・神戸というチームに勝利するのは決して、簡単ではない。G大阪や神戸は、今でこそ泥沼にはまりつつあるが、当時は決してコンディションを落としていたわけではなかったからだ。連勝・連敗が続く要因の分析は、なかなか難しい。

今年の事例を考えてみよう。

4連敗中3試合でPAの中でシュートを撃たれているという実態がある。仙台の2得点は共にPAの中に潜り込まれ、足を振り切られてのシュートを撃たれた。ハモン・ロペスの同点弾は、兵藤慎剛が左サイドの裏をとり、PA内からのマイナスクロスをフリーでねじ込まれた。ただ、どうして彼をフリーにしてしまったのかは、検証しないといけない。当初、ハモン・ロペスのマークは荒木隼人が受け持っていた。だが兵藤が突破したその瞬間、ロペスはスッと横に動き、荒木の視界から消えている。次の瞬間には荒木も気づいてはいたが、長澤駿に巧妙にブロックされスライドできない。吉野が必死に詰めたものの、撃たれる。ブロックしようと足を伸ばした稲垣に当たってゴールネットを揺さぶられた。

逆転されたシーンでも、吉野恭平がボールを運んでいくところでハモン・ロペスに奪われた。確かに吉野のミス。しかし、その後の広島の帰陣は速く、カウンターを懸命に遅らせている。シュートを撃たれた瞬間も人数は揃っていた。ただ石原崇のスルーパスが、松下のマークを捨ててブロックにいった稲垣と川辺の間をすり抜けてしまい、荒木の詰めも間に合わなかった。吉野のボールロストに問題がないわけではないが、得点をとりにいく意識の中で、「運ぶ」という選択は決して悪くない。勝ち点1を狙うにしても、ボール保持ができれば大きな問題は出ない。むしろ、守備の人数が整っているのに間を通され、PA内でフリーをつくったことの方が、厳しく反省しないといけない。

局面では失点しているわけだから、当然、粗が見える。特に個人のスキルに対して、問題を指摘したくなる。

ただ、PA内からシュートを撃たれることは、試合の中でゼロにはしたいが、ゼロにはできない。相手の個人スキルに個がついていけない場合もある。そこを問題の本質として捉えたくもなるが、本質的により重きを置かねばならないのは、90分というゲームの展開の方だろう。この問題は、今回の二つの失点シーンに如実に表れている。失点の直前、1度はマイボールにしているという事実だ。横浜FM戦の失点シーンとシチュエーションこそ違えど、要因は同質である。

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