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【書評※無料】ミハエル・ミキッチ2万字インタビュー/長束恭行氏の力作

現在発売中の「フットボール批評」にミハエル・ミキッチ(紫熊倶楽部ではミカエルと彼のファーストネームを表記していたが、ここではフットボール批評と同じ表記にする)の2万字インタビューが掲載された。インタビューはクロアチアを中心として欧州に長く拠点を置いてサッカーを取材してきたジャーナリスト・長束恭行氏。ドイツやスペイン、イングランドなどのサッカー大国の事情を取材するジャーナリストは決して少なくないが、旧ユーゴスラビアなど東欧のサッカー事情を綿密かつ地道に取材する氏の活動は、真に尊敬に値する。正直、ミキッチの来日の際には、長束さんの情報に随分助けられたものだ。

ミキッチを取材したのは2009年〜2017年までの9年間になる。その間、たくさんの会話もかわしてきたし、たくさんの情熱も受け取ってきた。彼の広島への愛情は本物。平和公園は彼の散歩のコースで、ことあるごとに祈りを捧げてきた。インターナショナルスクールではなく広島の学校に子どもたちを通わせ、運動会などにも夫婦そろって積極的に参加した。行きつけの店を「マイレストラン」と呼び、広島の文化をこよなく愛してくれた。

だからこそ、彼の引退の時には、僕自身が取材し、インタビューしたかった。そういう意味で、長束さんには軽い嫉妬を感じている。そして実際、素晴らしいインタビューが掲載されていた。質問した長束さんにも答えてくれたミキッチ氏にも、本当に敬意を表したい。永久保存版にすべき力作である。内容にはあえて触れない。まっさらな気持ちで、ぜひ読んでいただきたい。

いつの日か、彼が広島に戻ってきた時は必ずインタビューする。改めてそういう決意を胸に刻んだ記事であった。広島サポーターだけでなく、全てのサッカーファンに読んでいただきたい。また、ミハエル・ミキッチという決して全国的に見れば耳目を集めにくい(ミキッチのせいではない)ものの、偉大なサッカー人のインタビューを取り上げてくれたフットボール批評にも感謝したい。

 

(了)

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