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【紫熊戦士たちの物語】パトリック/自分が何者であるか

超人は今、頑張っている。

自らの実績を振り返ることもなく、エースだった自分の姿を振り切って、1人のストライカーとしてトレーニングを積み重ねる。

29日のトレーニング、サイドからのクロスに勢いをもって、人数をかけて入っていくシャドートレーニングで、パトリックは強烈なスプリントで侵入し、ゴールを奪った。昨年、最もいい時期と比較すればまだまだ。しかし、ブラジル人は得てして練習を「調整」と位置づける場合が多い(いい悪いは別として)中で、パトリックの必死さは強烈。激しく、熱く、そしてひたむき。彼の姿を見ているだけで、胸が締め付けられる。

この日の練習後、こんなことがあった。広島FMのインタビューで、パトリックが必死な表情で言葉を発している。どうしたのかなと聞き耳を立てていると、なんと彼は日本語でコメントしているのだ。日本語でサポーターに向けてのメッセージを発しているではないか。もちろん、まだまだ流暢にしゃべれない。しかし、日本語習得に力を入れている中で、これも「学びだ」と思ったのだろう。最後には自身のチャントまで自分で歌った。

思わず、拍手をしてしまった。日本人になりたいという彼の気持ちが、彼の願いが、まっすぐに伝わってきたからだ。

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