【THIS IS FOOTBALL】佐々木翔は、しっかりと戦えている。
広島の選手は、日本代表では「スケープゴート」になりがちである。オフト時代の高木琢也や森保一。ドイツワールドカップの時の駒野友一。そして今、佐々木翔がそうなりつつある。自分が広島で生活し、広島の選手をずっと見てきたから、そう感じてしまうのか。しかし佐々木は、ろくに広島の試合を見に来ないイギリス人記者に「実力不足」などと罵倒されるような選手ではない。
ベネズエラ戦では、ほとんどチームの体を為していない状況で、経験豊富なロンドンが高さでは最も不安のある佐々木のところに流れ、スタンディングジャンプで競り勝ったもの。確かにマッチアップしていたのは彼だが、際だった高さのストライカーをどう潰すのか、そもそもクロスをあげさせないための方法論をどう確立させるのか、そこができあがらないままで、高さのアンマッチをなんとかしろというのは、非常に厳しい。明白な準備不足であり、それは日程の組み方に問題があるわけで、外側から見ることを生業にするのであれば、冷静に状況を見るべきであろう。ところが、敗戦という屈辱には生け贄が必要なのか、佐々木に対する罵倒は辛辣という言葉で表現しきれないほど。本来、守備はチーム全体で施行するものなのに、彼だけが敗戦の要因であるかのような書かれ方だった。
その状況はE−1でも続いている。中国戦、3バックの左でプレーした佐々木に対して、またも「実力不足」という指摘が続いた。いったい何をもって、そんな指摘が為されるのか。
もちろん、筆者は「佐々木贔屓」である。視点も佐々木よりであることは、疑いない。そういう視点だと自覚しつつ、筆者なりに冷静になって、何度も中国戦の映像を見直した。
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