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『今シーズンの気になるチーム、気になる選手は○○だ』広島番記者・中野和也編【Jロス解消企画】

「J論プレミアム」で記事を書かせていただきました。
有料記事ではありますが、J論編集部のご厚意により、SIGMACLUBWEBにも転載OKの許可を頂いております。
SIGMACLUBWEBの読者にも読んで頂ければと思います。

よろしくお願いいたします。

 

■【チームの現状】育成の広島は、若者も実績者も成長させる

ローカルなクラブは、プレゼンス(存在感)がとても大切だ。そして残念なことに、広島は常にそこで遅れをとっている。

2012年から4年で優勝3回。2018年も2位、2019年は6位だが、11試合連続不敗と後半は明確に上げ潮だった。川崎Fと戦ってもボール支配率で上回るなど、かつてのクオリティが戻ってきたことも事実だ。

しかし、広島を優勝争いのダークホースに推す声すら、乏しい。話を振れば「いいチームだね」と言う人は多いが、だからといってタイトルをとるほどのチームだとは思っていない。派手な補強もないし、昨年と同じくらいの順位か、それよりも下くらいだろう。まあ、降格することはないだろうが、ACLは厳しいね。

まあ、そんな感じである。

それもこれも、広島にはプレゼンスが乏しいからだ。札幌には「ミシャ式」があり、湘南はどこよりも走るというイメージがある。仙台は昨年まで、渡邉晋監督が練り上げたポジショナルプレーがあった。では、広島は?堅守では、インパクトに乏しい。

それは、広島を取材している筆者自身にも責任がある。もっともっと、広島の魅力を発散させないといけない。もっとアグレッシブに発信していくべきだ。その発信量と比例して、広島の存在感が増幅する。それは、チームそのものが魅力的に成長したから言えることだ。

たとえば開幕戦、注目が集まったのは広島ではなく鹿島である。ザーゴ新監督の実績や積極的な補強を見ても、鹿島が注目されるのは当然だ。だからこそ、3-0という結果の後も「鹿島の完成度」が問題となり、広島がどうこうという話にはならない。

しかし「完成度」という言葉を使うならば、広島もまた途上である。昨年までのベースはあるにせよ、今季は「高い位置でのボール奪取」を目指してプレーゾーンを高くしようと目論んでいるし、切り替えの速さを増幅させて相手をずっと押し込むサッカーをやりたいと思っている。しかし、それができたのか。40%を切るボール支配率は、数字だけ見れば得点をとるのに苦戦した昨年前半並み。後半の多くの時間帯は自陣で過ごした。ビルドアップもパスの構成も戦術的な練度も、まだまだ未完成と言っていい。

なのに、鹿島の「未完成さ」が際立つほどの鮮やかさで、広島は勝利した。それは何故なのか。ここに広島というチームの「プレゼンス」がある。

城福浩監督という指揮官は決して、ミハイロ・ペトロヴィッチのような「慈父」でも、森保一のような「兄貴」でもない。実は情愛に満ちた「上司」ではあるが、厳しさというベールに隠されて、その情が伝わりにくい。しかし、分析や戦術の構築にも長けてはいるが、彼の指導者としての最大の長所は「育成」である。それこそ、広島が誇るべきプレゼンスであり、このクラブとこの監督がマッチしている最大のポイントだ。

たとえば川辺駿は確かに磐田時代にも活躍していた。しかし、今の川辺は、磐田時代とは大きく違う。経験豊富なベテランに囲まれて自由に振る舞っていた当時と違い、広島での彼は完全な主役だ。青山敏弘とのコンビでも、青山に頼っているのではなく、互いに補完しあってチームを動かしている。そして何より、守備での存在感がまるで違う。アニマルと表現された森和幸を彷彿とさせるような深くてエグいタックル、強さを増幅させた肉体を駆使した球際は、彼の課題であった守備における大きな成長の証明だ。そしてその成長は、川辺が広島に戻ってきた2年間、厳しい上司である城福監督の要求に歯を食いしばって戦い続けた証明である。

たとえば昨年に大きな成長を果たし、鹿島戦でも見事なゴールを決めた森島司である。彼のブレイクのきっかけは、ACL大邱戦(ホーム)で「ベンチから外す」と指揮官に通告され、その時に思わず「だったら(今トレーニングしている)ワイドではなく、シャドーで勝負させてください」と感情まじりに直訴したことだ。その時に「わかった」と指揮官はうなづき、次のACL(アウェイ大邱戦)からシャドーで森島を起用。そこから3試合連続アシストを記録し、プロ初得点(ACLメルボルンビクトリー戦)をも叩きだしたことで、レギュラーに上り詰めた。鹿島戦では、2点目につながる超絶トラップや息の根を止める左足シュートなど、昨年の活躍がフロックでないことを実証した。

川辺も森島もおそらくは、城福監督に育てられたとは思っていないだろう。しかし、簡単にポジションを与えず、試練を与え続ける指揮官の厳しさが、若者に「乗り越えてやる」という強い意志を与えた。それは何も、日本人だけではない。ドウグラス・ヴィエイラが移籍してきた時、守備のスキルはほとんどないと言っていい選手だった。レアンドロ・ペレイラが守備に奔走することはほとんどなく、今は右サイドを主戦場とするハイネルが広島入りした時は、中央の選手だと自負していた。彼ら実績を持つブラジル人選手たちにも、指揮官は変わらないアプローチ。だからこそ彼らの個人技はチームの中に溶け込み、破壊力を発揮している。鹿島戦、レアンドロ・ペレイラの前線からの守備からドウグラス・ヴィエイラがゴールを決めたのは、偶然ではない。

広島に来る前の彼らとは、明白に違う。成長しているからこそ、昨年のリーグ戦では勝利できず、ACLでは敗退に追い込まれた鹿島戦での快勝が生まれた。昨年のままのチームであれば、未完成とはいえ攻守に刃を見せていた鹿島に勝利できるはずもない。

 

■【注目すべきチーム】広島とは正反対のアプローチ。だからこそ神戸も面白い。

今、広島の主力を張る選手たちは、青山敏弘を除いて全て、城福浩の厳しさに耐え、反発も納得も感じながら育ってきた。「甲府時代はめちゃくちゃ、怒られました」と言う佐々木翔は今、広島でキャプテンに指名される日本代表。昨年、ワイドの選手としては異例の8得点をマークした柏好文も、甲府でFWからワイドにコンバートされることで花を咲かせた。そんな「育成型」である広島と城福浩監督にとって、全く正反対のコンセプトでチームをつくってきたのは神戸である。

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