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【サンフレッチェ広島取材の軌跡】1999年12月23日天皇杯準々決勝対清水戦/策士トムソン

 

1999年の清水エスパルスは、日本で一番、強いチームだった。

リーグ戦での勝点65は、柏(勝点58)に7ポイント差も付けた1位。チャンピオンシップではPK戦で磐田に屈してしまい、年間王者の座を失ってしまったが、その強さにゆるぎはない。MVPを受賞した左のアレックス(帰化した後は三都主アレサンドロ)、日本代表に相応しい力を発揮し始めた市川大祐、二人のアウトサイドの破壊力は紛れもなくJ史上に残ると言っていい。わかっていても止められないと言わざるをえないほどの迫力だった。中盤の三人はいずれも技術が高く、どこからでもパスが出るし、澤登のセットプレーは強烈極まりない。斉藤・戸田・森岡の3バックは鉄壁で、隙がない。森岡はセカンドステージの後半に怪我で戦列を離れたが、かわりに入った西澤の能力も高かった。

攻撃のパターンは、わかっていた。ボールを保持していても、結局はアレックスと市川、二人のアウトサイドによる突破からの攻撃であり、アレックスはアシストだけでなく得点もとれる。左アウトサイドの選手が30試合で11得点もとれるチームは、やはり強い。

清水が優勝したセカンドステージ、広島もまた好調だった。第8節、横浜FMに2−1で勝利して4連勝。順位を4位にまであげた。この時点で実は、広島は雷によって福岡戦が中止になっており、1試合少ない。つまり、清水との勝点3差は福岡戦に勝利すれば0になるわけでだ。第9節、広島はアウエイで清水と直接対決。もしここで勝利すれば得失点差で清水を上回り、他の試合結果次第では1試合少ないにもかかわらず、首位に立つ可能性もあった。日本平スタジアムに広島から向かう旅の途中、「首位」という言葉を何度も反芻していたら、手が震えて止まらなくなった。

だが、試合結果は完敗。この年、絶好調をキープしていた右アウトサイド・沢田謙太郎が前半31分、怪我によって負傷交代してしまったことで、それまで広島のプレッシャーによって抑えていたアレックスが生き返り、カウンターから先制点を喫した。決してノーチャンスではなかったが得点を奪えず、81分にアレックスのシュートのこぼれを久保山に押し込まれ、万事休した。

この試合後に行われた、清水・ペリマン監督の言葉を以下に記しておく。


大きな、重要な結果を得たことは確かです。

今日の試合には、2つの考え方を選手たちには示しました。まず、負けてはならない試合であること。そして、相手のもっともいいプレーというのはミスにつけこんでのカウンターだから、それを封じようということ。特に、相手のストライカー=久保が大きなスペースに走りこんでくると、ダイナミックなプレーを展開する。それは、避けねばなりません。

今日は、沢登が出場停止でした。そこで、サントスと大榎を並べ、中盤を強くコントロールしようと意図しました。(伊東)テルには、いつものノボリのように、自由に攻撃の全権を担わせました。また、アレックスにも攻撃時にはフリーにさせました。

ただコンセプトとしては、ワイドに、アウトサイドを中心に戦うことを心がけました。アウトサイドでボールを奪われても、厳しいカウンターを仕掛けられる危険性は少ないから。中盤の2人は、守備的な意識を特に強くもたせました。そのため、エンタテイメント性には乏しいかもしれませんが、非常に手堅くプレーしました。プロフェッショナルらしいパフォーマンスだと思います。

いいチームと戦って勝つというのは、非常に重要です。勝てば、自信につながりますからね。広島が以前よりもいいサッカーをしている姿を見るのは、うれしいものです。非常に整った、いいサッカーをしています。形もしっかりしていますしね。

それに前線には相手を脅かすFWがいます。サンフレッチェにとっては大きなプラスの材料でしょうし、勝つのが難しいチームです。今日の試合にしても、もし先制点が広島に入っていれば、逆転は難しかったでしょうね。このチームは、ゲームの流れとは無関係に、セットプレーから点をとることもできますから。とにかく、いい選手が自分の仕事を認識しているチームだと思いました。


その前年、前任者であるアルディレス監督は広島に対し、「あんな守備しかしない戦術で、広島の選手たちが可哀想だ」と強烈な皮肉を浴びせた。その時から考えれば大きな成長だろうが、敗北は敗北。ペリマン監督の言葉にも余裕が感じられた。

この大一番に勝利した清水はそのままステージ優勝に突っ走り、広島は次のC大阪戦でも敗れたことで優勝戦線から脱落してしまう。久保竜彦やポポヴィッチといった主力の怪我もあり、最後は8位に終わった。

清水には勝てない。日本平での完敗を見た者にとって、天皇杯準々決勝での勝利はイメージしにくかった。ポポヴィッチは復帰予定だが、久保は無理。森保も怪我から戻ってこれない。森岡を除いてベストメンバーを組める清水に対して勝機はない。中3日では、特別な対策もできまい。

試合会場は仙台スタジアム。正直、その素晴らしさに感激したが、それについてはここでは触れまい。ただ、もし天皇杯準々決勝が日本平で行われたとしたら、試合結果はもしかしたら違ったものになっていたかもしれない。1995年に勝利して以来、広島は3年連続して日本平では敗れている。そしてその屈辱の歴史は2011年に1-0で勝利するまで続く。

メンバー表が配られた。

えっ?

全く、予想しなかった先発である。いや、新しい選手が起用されたわけではない。驚いたのは、選手の組み合わせである。

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