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【2020紫熊の戦士】藤井智也/大学という日常に戻れない苦闘

「あ、先日はありがとうございました。いい原稿を書いて頂いて」

藤井智也が快活に声をかけてきた。筆者が彼について書いた記事がYahooに転載され、それを読んだと言う。

きっちりと挨拶ができる。ただそれだけで、人は爽やかになる。

「そんなことは関係ない。サッカー選手であればピッチで結果を出せばいい」

正論のように聞こえる。しかし、筆者はかつて広島の左サイドに君臨した鉄人・服部公太の例を知っている。

彼はプロに入った頃、尖ったナイフのようにビリビリとしていた。「挨拶なんかしたってサッカーが上手くなるわけじゃない」とばかりの態度。記者には目を合わさず、笑顔もなく、聞かれたことに一言、答えるだけ。周囲に対して自分の言動が及ぼす影響など考えることもなく、それがやがて自分にどう跳ね返るかなんて、思いもしなかった。しかし、結婚してから、そういう考え方はガラリと変わった。

「人に挨拶しないと損をするのはあなただよ。人と接する態度を改めないと、私はダメだと思う。愛想よくして損をすることはないし、挨拶されて嫌な気持ちになる人はいないから」

愛する人だからこそ、耳の痛いことも言わねばならない。そんな必死の思いは、夫に通じる。

「最初は、何だよそれって感じた。でも考えてみれば、全て妻の言うとおりなんですよね」

それから彼は少しずつ、笑顔で挨拶ができるようになった。すると不思議なもので、振る舞いに余裕が生まれることで、プレーにも大人の表情が生まれるようになった。2001年、初めて二桁アシストを達成したのも、彼が愛妻との出会いから変化していった過程の実績だし、その後のフィールドプレーヤーとしてJ1史上初とになる100試合連続フルタイム出場達成という偉大な記録に繋がる。

「最後は人間性」

サッカーに挨拶は関係ないと思っていた最右翼の久保竜彦が、こう言っている事実は重い。社会人として、しっかりとした立ち振る舞いができるかどうか。それは、サッカー選手としての「今」だけでなく、未来につながっていることも、先達たちはよくわかっている。そういう意味も含め、藤井智也に対する期待は大きい。

藤井はとにかく、真面目すぎるほど真面目である。サッカーについて常に全力投球であるのと同じように、学業にも全力だ。すでに卒業のために必要な単位もほとんど揃えていて、前期でほぼ完結で切るという。

「大学の授業は今、オンラインで受けています。ZOOMを使いながら。課題提出もやれている。今は多めに履修科目も入れていて、ほぼ毎日1〜2時間の授業があるんですよ。午前に練習があるので午後に授業を組んで。たとえばある日の授業は、財政学と犯罪学ですね(藤井選手は立命館大学の法学部で学んでいる)。卒論については、ゼミの先生と相談して。先生からは「書かなくてもいい」と言われているんですが、今は民事訴訟を学んでいて自分でも勉強を重ねているので書いてもいいかなって思っています。ネットを通して先生とやりとりできるので」

サッカーと学業の両立は今年の藤井のテーマである。それは、なんとかやれそうだ。しかし、もう一つのテーマである「大学サッカーとプロの両立」はかなり厳しい。関西学生リーグはまだ再開のメドも立たず、彼の「サッカーにおける本籍地」である立命館大学サッカー部の活動も、いまだにどうなるか話からない。それが彼の心に引っかかっている。

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