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【SIGMACLUBNEWS】最終ラインの構成を考えるPart.3〜 清水航平/攻撃のオプションになりうるストッパー

かつての広島のサッカー、特にペトロヴィッチ監督時のシステムは、ストッパーの攻撃参加ありきだった。ただ、それが明確化したのは2008年から。槙野智章が自分の力に自信を持ち、森脇良太が復帰し、そして何よりもボール支配能力が格段にあがったからこそ、それが可能になった。ただ、やはりそれができるのはタレントありき。ペトロヴィッチ監督時代も槙野が移籍した後はストッパーから前線まで入っていく機会は少なくなったし、森脇や塩谷司が移籍してしまってからは、破壊力をもって前に飛び込むストッパーはいなくなった。誰にでもできることではないし、ストッパーの仕事は本来、しっかりと守備を整えること。本末転倒になってはならない。

ただ、ここ最近の広島を見ていると、ストッパーが攻撃にどう絡んでいくかで得点の破壊力が増幅する傾向にある。例えば左サイドは、森島司や柏好文を中心に創造性の高い攻撃を生み出すが、そこに佐々木翔がしっかりとサポートできている時は、厚みのある攻撃もできている。佐々木は最近、クサビやスルーバスに磨きがかかっていて、その能力が森島や柏の突破力を引き出していると感じた。一方、右サイドはハイネルとドウグラス・ヴィエイラのコンビネーションというよりも、ハイネルの個人突破が鍵になり、ドウグラス・ヴィエイラは中央でプレーしているケースが多い。しかし、そこに野上結貴がそこに忽然と現れ、勢いをもってハイネルを追い越したり、あるいはPA内に出現する時も増えた。そうなった時に、左だけでなく右にも破壊的な能力が生まれてくる。

ただ、彼らはやはり本職はDF。佐々木はサイドバック、野上はFWやボランチで経験を積んでいたが、プロで認められたのは二人ともストッパー(もしくは4バックのCB)としての力である。相手を潰し、跳ね返し、ゴールに鍵をかける能力こそ、彼らに本来求められている仕事だ。そこをまず第一義で考えるべきである。

とはいえ、だ。攻撃的なサッカーで3−4−2−1を採用することの是非を考えた時、特に4−2−3−1との噛み合わせを考えた場合、ストッパーの一人を攻撃的にいかせたくなる。4−4−2の場合を考えた時も、ボランチを最終ラインにカバーさせて、ストッパーの一人を前に押しだしたくなる。そもそも、ペトロヴィッチ監督のサッカーは1990年代を席巻したACミランのゾーンプレスをいかに破壊するかという概念から生まれたものであり、ストッパーの位置から数的優位をつくるのは一つのコンセプト。かつてはそこに森﨑和幸を起用しようとしたのも、右ストッパーからのゲームメイクを試みたからだ。ストッパーはカズの適性ではなかったし、彼をボランチに固定したことが森保一監督時代に優勝を勝ち取った大きなポイントだったと思うが、ペトロヴィッチ監督の想いも理解できる。ストッパーは、フリーになりやすいポジションの一つ。そこから試合を創っていくのは、決して非論理的な話ではない。

そこで考えたいのは、清水航平の存在である。

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