【サッカー人気5位】オビ・パウエル・オビンナが横浜F・マリ…

SIGMACLUBweb

【THIS IS FOOTBALL】もっともっと、クロスを。

二次元の「縦・横」の世界では解決しえないことが「高さ」という三次元になると容易に解決できる。

DFの壁を浮き球で乗り越え、ストライカーにピタリと合わせるクロスボールが精密であればあるほど、ゴールの確率は高くなる。もちろん、GKとDFの間に入れる地を這うようなボールもいい。いずれにしても、クロスはゴールに直結する最大の武器である。

しかし、スルーパスは「芸術」と称しても、クロスに対して「アート」と表現する人はほとんどいない。クロスに対して「精度」を求めても「アイディア」を言う人はあまりいない。サイド攻撃の重要性はずっと言われているところで、相手CBやGKがシューターから目を離しやすくなるクロスの有効性は明白なのに、

広島はずっと、クロスで歴史を紡いできた。サンフレッチェ広島としてのJリーグ初得点は言うまでもなく1993年5月16日の風間八宏のボレーシュートだが、その美しいゴールを生み出したのは片野坂知宏の見事なクロスだった。1994年、ステージ優勝の大きなきっかけとなったV川崎(現東京V)との4−1勝利は、サイドで起点をつくった上でのクロスからハシェックが次々にゴールを決めたことで流れが決まった。2012年、仙台との直接対決で勝利を決めたのは、石川大徳のクロスを髙萩洋次郎が押し込んだゴールだった。サイドの名プレーヤーに目を移しても、片野坂や森山佳郎、沢田謙太郎、ミキッチ、柏好文、山岸智、清水航平と枚挙に暇がない。そして何といっても、駒野友一と服部公太だ。特にクロスの質という点でいえば、Jの歴史においても彼らに並ぶ者は少ない。

サイド攻撃が有効だというのであれば、本来ならサイドアタッカーの地位はもっと高くなければいけないし、精度の高いクロスを供給できるキッカーを求めないといけない。しかし、世界的に見てもクロスで名声を博してスーパースターになったのはデビッド・ベッカムくらいではないか。ロベルト・カルロスは破壊的な突破とFKのイメージはあるが、ベッカムほどのクロスの印象は薄い。だが、彼以降の世界に「クロス」を主武器とするアタッカーはあまりいないのではないか。というよりも、メディアがとりあげないといった方がいいかもしれない。4-2-3-1がサイドで優位性をつくるために生まれたフォーメーションだと聞いたことがあるが、そのわりにはクロスの重要性は語られない。

Footballistaで興味深い記事があったので、ご紹介したい。2018年に発表された「クロスボール戦術は死んだのか」と題した結城康平氏の記事だ。その一部を引用しよう。


 「時代遅れで単調な攻撃戦術」というイメージが付きまとうクロスボールだが、実際はいまだに重要な攻撃オプションであり続けている。両翼がクロスボールで相手守備陣を脅かすことができないと、アトレティコのような中盤圧縮型の4+4ゾーンを攻略することは難しく、ハーフスペースからの崩しも「外を警戒させること」で効果的な武器となる。相手のSBを外に誘き寄せる手段がなければ、CBとSBの間にスペースは生まれない。中央突破の研究がある程度の結論を導き出した時、戦略的に重要なカードとして再びクロスボール戦術を見直すべき時代が来るのかもしれない。


おそらくここでは、ハイボールのクロスについて主として書かれているが、前述したようにGKとDFの間に入れるグラウンダーのクロスもまた重要であることに疑いの余地はない。いずれにしても、クロスは今も重要な攻撃戦術であり、いいクロスが優れたストライカーに届いた時に防げる可能性は少ないという現実だ。

しかるに広島は、レアンドロ・ペレイラとドウグラス・ヴィエイラという高さにも裏への飛び出しにも強いFWを2枚も揃えていながら、クロスからのゴールが今季、ルヴァンカップ横浜FC戦でのハイネルのクロスからドウグラス・ヴィエイラがヘッドで叩き込んだゴールだけ。レアンドロ・ペレイラにしても、クロスからのゴールは広島デビュー戦となった昨年のG大阪戦におけるヘディングシュートのみ。190センチクラスで間違いなくヘディングシュートも上手い2人の特性を活かしきれていないのが現実だ。

城福浩監督は当然、その問題を意識している。

(残り 1085文字/全文: 2819文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック