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【SIGMACLUBNEWS】名古屋戦の試合中止で考えたこと

名古屋戦の中止情報が入ったのは、当日の朝10時頃だった。

寝耳に水、というわけではない。前日、名古屋の選手に陽性反応者が出たという報道があったことで、「もしかしたら」という想いはあった。それは城福浩監督も同様だったようで「(開催延期の)可能性があることは昨日からわかっていた。でも、自分としては100%試合をやるという想いだけで、朝まで過ごしていました」と語っていた。実際にメンバーも選考し、いつもの試合前日と同様にみんな過ごしていた。しかし、心のどこかに、「中止」という判断がおりるのではという心配は、誰もが抱えていた。

一方、名古屋は「絶対に試合をやる」という意気込みのもとで急遽、PCR検査をクラブ独自で実施。陰性反応が出て、かつ当該選手との濃厚接触がないと確認された選手たちを広島に送りこんだ。情報によれば、試合開催に必要な14名(GK1名)は揃えられていたという。しかし、なかなか名古屋の公式サイトに「全員陰性」の文字が出てこない。おかしい。そう感じながら朝、目が覚めた。そして、件の情報が入ってきたわけだ。

中止の理由は、名古屋の選手1名・クラブスタッフ1名に、それぞれ無症状ながら陽性反応が出たとのこと。選手はずっと別メニュー調整を続けていたらしく、試合に出る選手たちと濃厚接触の可能性は少ない。それはスタッフも同様だ。しかし、「絶対」ではない。陽性反応者の確認は前日の夜で、保健所主動で濃厚接触者の確認が始まるのは試合当日の朝から。Jリーグの試合開催要項には「双方のチームは、各試合において、キックオフの150 分前までに「Jリーグメンバー提出 用紙」に必要事項を記入し、ホームクラブの運営担当に提出しなければならない」とある。そしてエントリー可能な選手の規定としても「いわゆる濃厚接触者の認定や入国制限地域からの入国等により、公的機関から自宅待機等の指示を受けている状態でないこと」と書かれている。

もちろん、名古屋の選手はまだ試合当日である26日朝の段階では、濃厚接触者の認定は誰も受けていない。しかし「そうではない」という認定を試合開始の150分前、18時キックオフ予定だったから15時30分までに最低でも14人(GK1人を含む)が「濃厚接触者ではない」という確認を得なければならなかった。そしてそれが不可能だと判断され、中止が決まったのだ。

この流れは非常に重要である。PCR検査の陽性反応=試合中止ではない。検査での陰性反応+濃厚接触者ではないという認定を受けた選手がキックオフ150分までに14 人、揃えることができないと判断されたことが、中止に繋がった。これだけ検査の数が多くなれば、陽性反応者も増える。実際、福岡のチームスタッフにも1人、陽性反応者が出た。問題はそこではないのだ。with コロナを考えた時、陽性反応にいちいち反応しているわけにもいかない。重要なのは、感染した人の症状。そして、感染を広げないようにすること。そこだけだ。感染した事実が悪いのではない。

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