【広島1-2札幌】土肥航大/知性と笑顔と技術に満ちた18歳
いつも、土肥航大は笑っている。高校生の時から周りを笑わせ、冗談を言ってみんなの中心となっていた。沢田謙太郎広島ユース監督(現トップチームヘッドコーチ)の物真似も得意で、ユース時代はことあるごとにやっていたという。
「沢田さんってスイッ チが入った時は、目をこうやって、グワーッ てデカくさせるんよ。で、「球際!!」「ボールカバー!!」「ケツ、向けるな」って感じで(笑)。とにかく熱い、熱い」
左足の精度が高く、3人目で飛び出してゴールに向かうプレースタイルは、レジェンド・森﨑浩司に似ている。本人も「浩司さんは憧れの選手」と語っているが、ボランチやシャドー、ワイドをこなす柔軟性もかつての7番を彷彿とさせる。そもそも人を笑わせられるということは頭の回転が速い証拠。知性は高い。
紅白戦の1本目にも参加できない日々が続いていたが、それでも彼の明るさは変わらない。様々なポジションで使われることを嫌がる選手も少なくないが、土肥はたとえCBで使われたとしても前向きだ。「自分の良さはいろんなポジションができること」。前向きな感性は、成長への第一条件だ。
ルヴァンカップ札幌戦での先発は、ずっと練習を見ている者からすれば唐突感があった。前述したように紅白戦にも出場機会が少ない選手である。これは多分にチーム事情が加味されていて、松本泰志がコンディション不良によってメンバーに入れないという状況があったからという理由が大きかったことは確かだ。しかし、櫛引一紀も同様にコンディション不良で遠征に帯同できなかったのだが、そこは野上結貴が起用されている。もちろんCBはゲームを安定させねばならない役割があるため勝利が必要な試合でなかなか若手の抜擢はできないが、たとえ攻撃的な選手であっても、評価されていない状況で先発起用はありえない。例えばボランチに松本大弥を起用して野津田岳人や柴﨑晃誠をシャドーで起用する手もある。つまり土肥の起用は、まぎれもなく城福浩監督の高い評価が存在したと考えていい。
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