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【PRIDE OF HIROSHIMA】松本大弥/初めての屈辱

 

「大弥くん、ちょっといいかな?」

オフ明けの26日、クラブハウスに戻ってきた松本大弥に、声をかけてみた。

この日、彼はトレーニングで広島ユースとのミックスチームで10分×4本のトレーニングマッチに出場した後、居残り練習も長い時間をかけた。池田誠剛フィジカルコーチが課す厳しい練習に耐え抜き、肩で息をしながら歩いてきた。練習着の袖を肩まであげ、灼熱の太陽で真っ赤になった二の腕にも汗が噴き出している。いかに激しく厳しいトレーニングを積み重ねたか、それだけでわかる。

本当はもう休ませてあげたい。でも、どうしても彼の言葉が聞きたい。聞いて、サポーターに伝えたい。

だから、声をかけた。松本は少し、戸惑った表情を見せた。でも、意を決したかのように、彼は僕の前に立った。

「横浜FM戦……、自分としては……、何もできなかった」

言葉を探さなかった。ストレートに、彼は言った。

本音だった。自分の現時点での力のレベルを、思い知らされたと実感していた。

前田大然との1対1。

「速かった。もちろん、1対1の状況はつくりたくなかったんだけど、そういう状況でも守れるようにならないと、前からの守備も……、はまっていかない」

後ろが1対1でやられていたんでは、確かに前はプレッシャーにいけない。

「ジュニオール・サントスは足が速いし、身体も強い。でも……、そこに負けていたら、活躍なんてできない。勝てるようになりたい」

これまで松本大弥は、どんな時でも自信たっぷりだった。実績も根拠もないが、それはそれで彼も自覚していた。しかし、自分はできるという思いは、どんな時もなくしていなかった。だが、横浜FM戦でその自信は木っ端微塵に砕かれてしまった。

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