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【広島3-0鳥栖】攻撃的姿勢が実った東俊希のJリーグ初得点

ウオッシャー!!

東俊希が叫びながら、身体を海老反りにさせた。

そこに永井龍、森島司、浅野雄也らが走り、抱きついてくる。

喜びに満ちあふれた瞬間。内容に結果を付与させ、チームが戦い方に自信を持てた大きな瞬間だった。

 

その2分前、東は大きなミスを犯していた。

44分、自分たちが失ったボールを川辺駿が見事に身体を入れて奪い返し、佐々木翔がダイレクトでクサビを入れた。浅野が受け、永井に縦パス。ポストプレー。反転した。打つか。いや、東に出す。

フリーだった。なんでもできた。

ここでの選択はクロス。GKとDFの間に流し込み、永井か浅野に合わせようとしたプレー。判断は悪くない。しかし、キックに力みが出て、スピードが速過ぎた。裏取りには自信を持つ永井も、さすがに合わせられない弾丸クロス。もちろん、意図したものではない。

「力まないようにしていたのに」

唇を噛んだ。しかし、切り替えないといけない。

責任を感じていた。先発にしろ途中からにしろ、ここまで全試合出場。しかし、横浜FC戦でアシストを記録はしているが、他の試合では得点に絡めていない。

「申し訳ない」

他に努力している選手がいる中で試合に出ることを許されることは、責任を負う。それはチームに対しても、サポーターに対しても。そんなことを考えない選手もいるだろうが、少なくとも広島には存在しない。それが気風である。

だが、東のストロングポイントは、その責任感をプラスに捉えられることだ。切り替えられることだ。

45分、荒木隼人のサイドチェンジが流れてしまい、相手にスローインが与えられた。何気ないシーン。そのスローインを野上結貴が跳ね返す。鳥栖も返す。そのセカンドボールに対して、もっとも速く反応したのは川辺駿だ。一気のプレッシャー。身体をぶつける。小屋松知哉とのせめぎ合い。ボールがこぼれた。

その時、逆サイドにいた東はポジションを中に絞りながら、ボールの行方に注視していた。そしてボールを拾った松岡大起がパスを出したその瞬間、東はスタートを切る。小林祐三がボールを受けられないと思ったのか、彼にプレッシャーをかけようと判断したのか、いずれにしても狙っていた。

その狙いが奏功した。そしてそれは、チームとしてのコンセプトが結実したシーンでもあった。

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