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佐藤寿人が広島にやってきた2005年、小野剛監督のチームは最良のシーズンを過ごした。その要因を学ぶ/THIS IS FOOTBALL

サンフレッチェ広島には「監督4年目、最高成績のジンクス」がある。

かつて、4年以上の長期政権を担った監督は城福浩監督で5人目。そのうち、エディ・トムソン監督を除く3人(小野剛・ペトロヴィッチ・森保一)はいずれも、監督就任4年目のシーズンに最高成績を残しているのだ(小野剛とペトロヴィッチはシーズン途中の就任)。

小野監督の4年目は2005年。佐藤寿人が2年越しのオファーに応えて広島に加入し、日本人得点王となる18得点を記録して日本代表に初招集。久保竜彦移籍(2002年オフ)後、チームの悩みのタネだったエースストライカー不在を解消した。また、森﨑和幸がアンカーの位置で全試合フルタイム出場を果たし、攻守にわたって絶対的な存在となった。駒野友一がアシストを連発し、日本代表に初選出。ルーキー・前田俊介が26試合出場5得点という記録以上のインパクトを与えた。シーズン順位は7位。だが一時は2位にあがり、優勝争いに本格参加する可能性もあった。

この躍進の要因は、補強の成功とそれに伴ったフォーメーションの変更である。

これがこのシーズンのベストメンバーだ。この年メンバーの中で、新加入組がジニーニョ、茂原岳人、佐藤寿人、ガウボンの4人。ここに池田昇平や前田俊介といった選手たちも絡んできた。特に大きいのは、やはりFW陣。寿人の18得点を筆頭に、ガウボンは9得点、前田が5得点、茂木4得点。4人で36得点は、今季の1トップ2シャドーの主力6人が決めた36得点(レアンドロ・ペレイラ15得点、ドウグラス・ヴィエイラ8得点、永井龍1得点、森島司5得点、浅野雄也5得点、エゼキエウ2得点)と同じ。トップ下を務めた大木勉の3得点、森﨑浩司の1得点を加えれば、6人で40得点に到達する。

前年、広島はFWのコマ不足に苦しんでいた。期待を込めて獲得したチアゴは、抜群のテクニックを誇ったもののケガが多く、シーズン10試合出場2得点と低調。期待されていた茂木弘人も8試合1得点。J1復帰に貢献した眞中靖夫はシーズン途中で移籍し、中山元気も11試合0得点。2年目のストライカー・田中俊也も木村龍朗も、初出場初得点を記録した田村祐基や期限付き移籍で獲得した盛田剛平も、結果を残すことはできなかった。ケガで21試合の出場に止まった大木勉が5得点をあげたのがFWとしての最高得点で、チーム最多得点は森﨑浩司の7得点。これでは、年間13引き分けという当時のJ新記録をつくってしまうのも無理はない。

小野監督は2005年、平均得点を1.20から1.80に引き上げることを目標としていた。流動性のある攻撃スタイルは確立してはいたものの、チャンスをゴールに叩き込む個人能力が目標達成にはどうしても必要。そのために佐藤寿人とガウボンを獲得し、前田俊介と茂木弘人の成長にも期待した。

ただ、シーズン当初はなかなかうまくいかない。

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