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青山敏弘、新ホットライン形成の予感/開幕に向けて

「選手が変わったとしても、同じようなプレーは実現可能だ」

よくこういう言葉を言う人がいる。だが、大ざっぱなプレー設計はなぞることができたとしても、細部に至って「同じ」というわけにはいかない。選手個々の質や特長が違うからだ。誰もがイニエスタのプレーができるわけではないし、レアンドロ・ペレイラのようなプレーができるはずもない。

「できる」と「やれる」とは違う。選手にはそれぞれスペシャリティーがあり、その特質をいかに活かしていくかが戦術上でも重要になってくる。

特に「特別な力」を持った選手がいる場合、戦術上において彼の力を最大限に活かそうと考えるのは当然のこと。「彼に頼る」のではなく「彼を活かす」。そこを見誤ると大きなリスクも伴うが、大きな力を持った選手のベストな力を発揮させることは、指揮官の重要な仕事でもある。

今季の広島で、そういう「特別な力」を持った選手が誰かを考えた。勿論、ジュニオール・サントスはそうだろう。あとは森島司や川辺駿も近い存在かもしれない。ただ、実績から考えても、その特異な力を見据えても、青山敏弘をまず考える。

今季のプレシーズン、彼は極めて順調である。身体に故障もなく、心肺機能もしっかりと積み上げている。そのコンディションの良さは、城福浩監督も認めているところだ。

ただ、青山がいくら好調であっても、その力をチームで引き出していかないと意味はない。彼の真骨頂である局面を変える「裏へのパス」は、受け手を選ぶ。佐藤寿人がいなくなった広島で、まだ青山のパスに反応できる選手は見当たらない。そう考えていた。

だが、今季のプレシーズンは、いよいよ青山のパートナーが生まれそうな予感がある。

その前になぜ、青山は寿人とのコンビネーションを確立させることができたのかを考えてみよう。

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