本気の攻撃的守備を表現せよ/仙台戦に向けて
今年も主役は、川崎Fなんだな。
そんな想いを強く持った開幕戦だった。
試合開始から圧巻の攻撃的守備を見せて横浜FMをずっと押しこみ続け、決定機も創っていた川崎Fだったが、「横浜FMは15分、我慢すればきっとチャンスができる」と見ていた。それは昨年の対戦経験から得ていた川崎Fの特長で、得意の攻撃的な守備を試合開始15分くらいまでしのげば、あまり圧倒されなくなる。それは慣れがあるのか、川崎Fが緩むのかはわからないが、いずれにしても必ず川崎Fのターンではなくなる時は来る。
そして、横浜FMは苦しい時間帯を我慢できた。18分には仲川輝人のプレスから高い位置でボールを奪い、天野純のシュートまで持ち込むことに成功している。横浜FMのターンがやってきた。そんな矢先だった。
20分、チアゴ・マルチンスがGKのオビ・パウエル・オビンナにバックパス。この時、レアンドロ・ダミアンが30mくらいの距離を一気にスプリント。オビに激しくプレッシャーをかけた。キックをブロックしたボールは横浜FMにとってはラッキーなことにゴールにはならなかったが、この凄いプレッシャーは明確に空気を変えた。
その後もレアンドロ・ダミアンは何度も追い直し、プレッシャーをかけ続ける。そこに連動して他の選手も追い始める。横浜FMは何とかパスワークでかわし続け、扇原貴宏のところで落ち着くが、レアンドロ・ダミアンが火をつけた「攻撃的守備」の炎は、川崎Fの選手たちの間に残っていた。
結果として、扇原のパスを三笘薫がカットしたところから川崎Fの攻撃が始まり、素晴らしい山根視来のインナーラップ&ヒールパス、家長昭博のボレーシュートと高質なプレーの連続から川崎Fが先制するのだが、そのきっかけとなったのはレアンドロ・ダミアンの猛然としたプレッシャーだ。直接、ゴールにつながったわけではないが、横浜FMのターンになりそうな時間帯だったのに、その雰囲気を猛然のスプリントでレアンドロ・ダミアンが変えてしまったのだ。
今や、前からのプレッシャーは特別なものではなく、通常の戦術である。実際、トレーニングマッチで対戦した相手は全て、前から圧力をかけてきた。
だが、川崎Fのそれと違うのは、「本気度」である。
レアンドロ・ダミアンだけでなく、小林悠も三笘薫もそうなのだが、彼らは本気でボールを奪おうという姿勢で走る。なぜ本気か。ゴールするためだ。彼らは守るためでなく、得点をするために守備をしている。他のチームは、守備のための守備だったように感じる。だから、迫力が違うのだ。
広島が今年、センセーショナルな活躍をするためには、川崎Fの「本気の守備」を見習わないといけない。それは指宿キャンプの磐田戦で、あらわになった。
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