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執念を体現した藤井智也と鮎川峻/広島1-1横浜FM

キックオフからいきなり、永井龍が走った。

「行くんだ」

その姿勢を全員に示した。

「TANADA」という背中の文字が間に合わないほど急遽な出場となった棚田遼も、連動する。

5分、柏好文が前に出てボールをとり、右サイドで棚田が切り返して中にいれる。長沼洋一のクロスボール。こぼれにハイネルが反応する。

ここでシュートまでもっていけなかのは、彼の試合感覚がまだ戻りきっていない証拠だろう。天野純のクリアを受けてしまった。

しかし、このプレーから広島は、横浜FM陣内でのプレーが続く。横浜FMに侵入されても、バランスは崩れない。前線からの守備が機能しているからだ。中盤の選手が無理をして相手のCBにプレスするシーンはない。林卓人の鋭く的確なコーチングも効果的だ。

失点シーンは、確かに藤井智也がボールを奪った瞬間に奪い返されたところからスタートし、天野の鋭いクロスからレオ・セアラに決められたもの。確かに藤井のミスかもしれないが、仕方ないと思わせるほどの高質なプレーだ。

1失点は仕方がない。押し返されることも致し方ない。ボールを握られることもまた、横浜FMであればしょうがない。

ピッチの中で失点要因を分析する時間もない。修正はしないといけないが、前向きな思いでやらないとチームは崩れる。

「ここからだぞ」

井林章や佐々木翔が、下を向きそうになった藤井に声をかけた。その言葉で当事者である彼が前を向けた。それは、大きな意味を持つ。

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