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木稲瑠那/8月6日に生まれて

木稲瑠那は、広島で育った。小学3年生まで、広島の子だった。

当時、彼女は友だちにこう言われた。

「瑠那ちゃんって、8月6日生まれなんでしょ。かわいそうだね」

言葉の意味が、わからなかった。

8月6日に何が起きたか、もちろん知っている。

「広島に住んでいれば、この日は登校日。何が起きたのか、教えてくれますから。それに私は、自分の誕生日にどんなことが起きたのか、知りたかった。ただ、8月6日という日そのものが、悪いわけでもダメな日なわけでもない。ただ、この日に起きたことは、知らないといけない。そう思っていました」

彼女が「あれっ」と思ったのは、その後のこと。広島から福岡に引っ越して以降、藤枝順心高(静岡)やジェフユナイテッド市原・千葉レディースに加入して千葉に行った時も、「かわいそうな日に生まれたね」とか、言われることはなくなった。もちろん、成長するにしたがって、デリカシーは生まれる。だが、それだけではなかった。

「そもそも、8月6日という日そのものが、認知されていないんです」

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