青山・ザ・グレート/広島3-0柏
青山敏弘こそ、このゲームの支配者である。そう言い切っていい柏レイソル戦のパフォーマンスだった。
もちろん、プレーヤーズ・オブ・ザ・マッチをあげろと言われれば、ドウグラス・ヴィエイラを選出する。ハットトリックを決めたFWを評価しないはずもない。だが、誰がこの試合を手中にしていたかと言われれば、迷いなく紫の6番、青山・ザ・グレートを挙げる。この日の彼はまさに、グレートの名に相応しい。
31分、青山がハイネルからボールを受ける。この時、彼の前には黄色いシャツを着た強者たちが9人、そしてグレーのシャツに身をまとった名手=キム・スンギュもいた。この壁を破るのは難しい。そう感じていた。
ただ映像を見るとこの時、ドウグラス・ヴィエイラと青山は視線を合わせている。互いに認識していたか。そこはわからないが、ドウグラス・ヴィエイラは「アオからいいパスが出るに違いない」と語り、青山は「ドグにパスを引き出された」。ここで2人が意思疎通していたことは、ほぼ間違いあるまい。
ストライカーは1度、ボールをもらうようまな素振りで青山に一瞬、近づいた。その瞬間、6番は前に矢を放つ。スルーパスという名の矢は、ヒシャルジソンの脇を抜け、上島拓巳と古賀太陽の間をシュッと通り抜けた。そしてそこには、半円状の動きでマークを外し、オフサイド網もくぐり抜けたストライカーが走りこんでいた。
フリー。キム・スンギュ、飛び出す。
フワリ。左足で擦るように放ったキックはGKの右肩を抜いて、ゴールネットの中で弾んだ。
なんと美しいゴール。その演出者は青山であることは間違いない。あれほどのスルーパスの使い手が、他にどれほどいるだろう。
ただ青山敏弘の偉大さは、スルーパスだけではない。
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