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流れを変えたロングパス/サンフレッチェ広島レジーナ 1-1 アルビレックス新潟レディース

繋ぐことは勇気である。常に失う危険がある。

もちろん、その危険を怖れていては、得点という宝物に辿りつけない。ただ、「だから繋ぐんだ」と勇気を見せても、それが成果に直結するためには「知性」が必要だ。

例えば、織田信長が勇名を馳せた桶狭間の戦いは、重臣たちの籠城策を若き武将が一蹴し、一気に野戦に挑んで「東海一の弓取り」今川義元を討ち取ったことで知られている。だが、信長はただ猪突猛進していったわけではない。しっかりと情報を収集して戦略を構築し、勝利するためのプランを明確にもって戦いに挑んでいた。もちろん、運もあった。だが、その運を引き寄せたのは、信長の知性だった。

レジーナは立ち上がり、堅さが如実に見えていた。ただ、それだけが苦戦の理由ではない。新潟は予想どおり、前からのプレッシャーを仕掛けてきた。これをどう剥がすか、そこに注目していたのだが、ベレーザや仙台ほどではない強度のプレスに自分たちからミスを繰り返していた。

それはやはり、仙台やベレーザを相手に圧力をかけられてやられた恐怖が、まだ肌感覚として残っているのだろう。距離感が悪い。ボールを積極的に受けに行く選手もいないし、厳しいところにでも仲間を信頼してつけるという意志も希薄。選択肢は必然的に少なくなり、新潟の圧力の餌食となっていた。

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