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浅野雄也と荒木隼人が生み出したカタルシス/広島 1-0 名古屋

即時奪回とは何も、前線でのみ行われるものではない。奪われた場所ですぐに奪い返す。それができれば、ピンチをチャンスに変えることができる。

そう。サッカーの醍醐味はピンチをチャンスに変える、その瞬間だ。

ポゼッションとかポジショナルプレーとか5レーンとか、そういう理論的なものがどうでもいいとは言わない。サッカーの成長においては、理論はとても重要でかつ不可欠なことは認識している。

しかし、プロサッカーにおいて、いやプロフェッショナル・スポーツにおいてとても重要なのは、その瞬間に感じるカタルシスだ。ウワッとかオオッとか、そう叫びたくなる躍動の瞬間に、理論を考えている暇はない。理論は、見ている側に感心と納得を与える。だが、感動は違う。

カタルシスとは、心の中にたまっていた言葉にならないもやもやした感情を何かをきっかけに吐き出し、解放させること。古代ギリシャでは「浄化」を意味し、プラトンやアリストテレスらが、様々な学術分野で触れている。そしてサッカーの場合、それをもっとも感じる瞬間はゴールだ。得点が入らないスポーツだからこそ、ゴールが与えるカタルシス効果は爆発的だと言える。

そしてそのゴールの形の中でも、ピンチだと思ったその瞬間をひっくり返した時、人の心は揺さぶられ、解放へと導かれる。それはサッカーに限らない。相撲でもボクシングでも、あるいは野球やテニスでも、逆転のドラマほどカタルシスを感じる時はない。そしてサッカーの場合、それを最も感じるのが、即時奪回からのゴールではないか。

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