アディショナルタイム3分間で、勝利から敗北への転落/ S広島R 1-2 AC長野
敗戦に未だ、整理がつかないでいる。
いや、どうして失点したのかは、それは映像で見ればわかる。一言でいえば、あまりに拙いゲームコントロールだ。
ただ、どうしてそうなったのか、その本質は、未だにわからない。
最初の失点につながったのは、広島のCKから。アディショナルタイムが3分と表示された後のセットプレーだ。
そこからのショートコーナーでボールを受け直した小川愛は、ここで中にクロスボールを入れた。そのボールは相手GKにキープされ、そのままカウンターを狙われた。しかしそこは、広島がロングボールを弾き返し、小川がボールを持ち、スルーパスを狙った。
カット。そして、縦へ。
前にかかっていたレジーナの背中をとったこのボールは相手FWが握った。この時、状況は4対4。極めて危険な状況だ。そして、木﨑あおいが相手を倒した位置は、やや右側のPA前。ここでまさか、直接FK弾を食らって同点に追いつかれてしまうとは。キックは見事というしかない。問題はここに至るまでの過程だ。
ここまでの試合内容は、前半に中村楓のところを狙われたシーン以外は、ほぼ完璧にレジーナペースだったと言っていい。特に齋原みず稀投入以降は、彼女の技術が相手を翻弄し、決定的なシーンをいくつもつくってみせた。特に67分、小川のキックを齋原がヘッドで狙ったシーンは、実に微妙。相手がライン上でクリアしたのだか、そのボールがラインを超えていたようにも見えた。
WEリーグは、女性審判の人材不足からかそれとも予算の問題が大きいのか、VARは導入されていない。もし、J1であれば確実にVAR案件になっていた事例だ。しかしこの場面、DAZNによる振り返りもないため、ゴールラインを割ったかそうでないか、確認も難しい。それだけに、もやもやは残る。
それ以降も、83分のカウンター。84分の小川クロスから中嶋淑乃の場面。そして、90分には相手をゴール前に押し込んで猛攻を仕掛けていた。
あと1点をとりたい。あと1点あれば、勝てる。そんな想いが強く感じられた。
レジーナはこの時、「守る」ではなく「攻めきる」を選択した。それは決して悪いことではない。あと一歩で、それができる。そういう雰囲気が漂っていたことは確かだった。
でもそれは長野も意図してはいない、サッカーの神様が時折見せる「甘い罠」だった。男子でいえば、2007年の広島が、イヤというほどにその経験を積んでいる。そこから割り出された鉄則は、勝点3が欲しいのであれば、どこかでメリハリをつけないといけないという現実的な思考だ。
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