機能しなかった前半。鮎川峻に希望を見た後半。/広島0-1清水
こういう試合でも、プロフェッショナルを感じたシーンはあった。
例えば、荒木隼人。鹿島戦で様々なミスを犯し、屈辱と責任感から涙を流した若者のプレーだ。
6分、清水のボランチ・竹内涼のプレッシャーを受けた野上結貴のパスが青山敏弘の求めたところと若干ずれた。そのずれを見逃さなかった鈴木唯人がカットする。そのまま運ぶ鈴木の前に立ちはだかったのが荒木だ。
しっかりとワンサイドカットして相手のスピードを遅らせ、無謀なアタックをすることなく、落ち着いて周りのサポートを待った。結局、鈴木の突破は戻ってきた野上と林卓人によって阻まれたのだが、荒木のプレーなくしてピンチの回避はなかった。
11分、広島の清水陣内でのスローイン。エゼキエウから松本泰志への横パスをカットし、西澤健太がドリブルで運ぶ。カウンターだ。チアゴ・サンタナが素晴らしいスタート。その動き出しに合わせ、西澤がスルーパス。だが、そのサンタナに並走して、荒木が走る。ボールを握ったのは清水のエース。だが、広島の守備のエースも、適切な距離をとってサンタナに相対する。
切り返し。シュート・フェイント。さらにまたぎ。だが、ストライカーの仕掛けを全て読み切り、密着したまま荒木はサンタナを後ろに向かせて、バックパスを選択させた。ヨーロッパで活躍してきた大物FWに自分のプレーを発揮させなかったのは、荒木隼人の能力と成長の賜物である。
だが、荒木がこういう能力を発揮できたということは逆に、チームとしての機能性が低くなっていたからだと言わざるをえない。記者席で共に取材していた清水付きのベテラン記者は「広島は思っていたよりも、前から来ないですね」と語った。そのとおりだ。エゼキエウを頂点として浅野雄也・茶島雄介と組んだトリオは、本来であれば守備の意識も高く、モビリティもある選手たち。だが、彼らは誰も、守備のスイッチを入れられない。
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