【サッカー人気5位】【浦和を語ろう 特別編】元川悦子だから…

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池田誠剛コーチの仕事に、心から感謝して。

二人の指導者が、広島を去った。残念で仕方がないが、一方で出会いも別れも人生そのものである。

池田誠剛フィジカルコーチと藤原寿徳GKコーチ、二人の名コーチを拍手で送り出したい。

特に池田誠剛コーチの4年間の貢献については、言葉もないほどの感謝しかない。

池田コーチは言うまでもなく、日本のフィジカルコーチの草分け的な存在。現役時代は将来を嘱望された選手だったが、前十字靱帯断裂の大ケガの影響もあり、30歳になる年の1990年に引退。翌年からジェフの指導者となり、以降はフィジカルコーチとして多くの選手たちを見てきた。1997年から就任した横浜FMでは岡田武史監督のもとで連覇に大きく貢献する。

例えば、久保竜彦のボロボロになった身体を再生するために尽力し、様々なアドバイスを行った。御殿場在住のカイロプラクティック(筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職)の権威である夏嶋隆氏を久保に紹介し、彼の身体から痛みを取り除くきっかけをつくったのも池田コーチである。

韓国代表では洪明甫監督から大きな信頼を得て、ロンドン五輪銅メダル獲得に貢献。2018年から広島のフィジカルコーチに就任した後は、ボロボロになっていた青山敏弘の身体を再生させた。

就任から半年後、彼は青山について、こんな言葉を語っている。


足首、膝、股関節、背中。全てがうまく流れていない。連動・連結していないから、どこからどうほどいてあげればいいのかを、これまでのケガの既往歴を聞きつつ、いろんなことを考えないといけなかった。


青山は若い頃からフィジカルトレーニングで筋肉量を増やすことに注力していた。それが、エンジンと呼ばれるほどのトルクとパワーを生み出す原点となっていた。だが池田コーチは「大切なのは筋肉量ではなく機能性の問題」と喝破する。


関節をどう使うか、どういう姿勢で動作を行うか、そこを考え合わせて筋肉量をつける方法を実践するのであればいいんだけど、弱いから強化するという短絡的な思考に陥ると、ある日突然、ドカンと壊れてしまう可能性も高い。もちろん、自分で気づいてアクションを起こして、トレーニングをする流れは、いいんです。ただ、誤った方向に動いてしまっている選手に対して方向を正し、舵を取ってやるのが指導者の仕事。選手の特性を見抜き、いち早く修正する。そこにコミットしないといけないんです


彼は当初、ローラーの上で青山に自転車を走らせるように求め、その姿から何が問題なのかを探った。


自転車に乗ると身体は自然とバランスをとるようにするから、悪いところをかばうようにする。背中の筋肉がきれいな波を打つように乗れるといいんですけど、アオの場合はそうではなかった。背中がガシッとなって動かない。どこかで筋肉が収縮している状況が続くと痛みのシグナルが出て運動をやめさせようとする。人間の肉体には高度なセンサーがついていて、異常があると自分で修正しようとしていく感覚を持っている。だからこそ、一つ一つの機能を修正してやると、どんどん変わってくる。背中が動き、左右差も是正された。


2018年シーズン、全盛期のようなスプリント能力が復活した青山は、その活躍が認められ、日本代表に選出された。だが、アジアカップで右膝の軟骨を負傷。選手生命が終わったと多くの人が実感した。だが、池田コーチはその年から就任した亀尾徹メディカルアドバイザーと共に青山の復活を担った。5月には「俺に任せればいい」と青山に語りかけ、ギリギリの強度を見越してトレーニングメニューを組み、復帰に向けて一歩ずつ、二人三脚で歩いた。

2019年7月3日、再起不能とまで言われた青山は天皇杯・沖縄SV戦でピッチに立ち、33分間プレー。以降、大きなケガもなく、フルシーズン活躍する。そして今季は、出場した試合のほとんどで走行距離のトップをキープしていた。その裏には、池田コーチとのコラボレーションの存在が間違いなく、あったのだ。

城福浩監督の退任が明らかになった直後の10月27日、池田誠剛コーチに話を聞いた。

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