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【熊本キャンプ】広島 5-4 熊本/たくさんの課題と収穫

45分×3本で4失点は、どんな理由があるにせよ、いただけない。間違いなく課題である。ただ、収穫もあった試合ではあった。

もちろん前提として、熊本は十分にいいチームだったことをあげておく必要はある。さすが、大木武監督であると実感させられた。

プレッシャーのかけ方、ビルドアップ、パスのつなぎ。そして広島の守備を崩したボールのないところでの動きも秀逸だった。何よりも、「自分たちはこれでいくんだ」という統一された意志を感じた。これは実に重要なことだ。

相手のことを研究し、分析して対策を立てることは、勝つためには重要だ。だが、そのベースには、「自分たちはこういうサッカーがしたい」という断固たる決意が必要なのである。研究・分析・対策は上積みではあるが、ベースにはなりえない。よく「プランB」「プランC 」というような言う向きもあるが、リーグ戦で実質3日間程度の準備期間しかないのに、そんなに多くの「プラン」を選手たちに詰め込もうとすると、プランそのものの実効性が薄くなる。どんなに監督が分析に長け、対策に熱心だったとしても、ベースそのもののクオリティが高くなければ、チームは強くはならない。

そしてキャンプとは、そのベースを構築し、向上させるためにある。その考え方に立脚すれば、4失点したことは次への糧になる。どんなやり方であっても表と裏があり、メリットとデメリットがある。そこをあぶり出す作業の一環が練習試合であり、得点・失点シーンにそれは凝縮されている。

開始早々の永井龍のゴールは、藤井智也個人のメリットだ。相手のロングボールを自陣深いところでカットし、そのままドリブルで50m近く運ぶ。しかも外ではなく中に持ち込んだところが、今回の彼の収穫だ。そして、相手を引きつけて永井のランニングコースをつくった上でのスルーパス。しっかりと決めた20番も見事だったが、やはり藤井のプレーが何よりも素晴らしい。公式戦で披露すれば、スタジアムは間違いなく熱狂するレベルだ。

だが1本目の20分過ぎあたりから、広島のプレッシャーががっくりと落ちる。前線からのプレスの頻度と強度が落ち、中盤や最終ラインの連動も乏しい。ボールは熊本が握る時間帯が多くなった。それでも28分、長沼洋一のスローインを左タッチライン際で受けた青山敏弘が仙波大志にパスしてカウンターをとり、茶島雄介のクロスから永井の決定的なクロスを導くなど、牙を剝いたシーンもある。だが、それも単発だった。

38分、広島は失点。高い位置でプレッシャーをかけようとした住吉ジェラニレショーンが入れ替わられて、カウンターをくらったことがきっかけだった。そこは全員が戻ってブロックをつくって防いだがボールを奪い切るところまではいかず、左サイドからのパスをワンタッチではたかれ、裏をとられてのクロスを逆サイドで押し込まれた。

サイドを攻略されたというよりも、ボールを取りに行って入れ替わられたことが、まずは問題。自陣での守備にしても、ボールを奪い切れなかったことが失点に繋がった。ラインを引きすぎてしまってボランチのところへのプレッシャーが遅れたこと。張り出してきたウイングバックに食いつきすぎてギャップを生じさせてしまったこと。このあたりは、守備の戦術的な整理ができていないからこその崩壊と言える。ただ、それよりも、この失点に繋がる時間帯で、このキャンプでやってきた「ボールへの守備」が弱くなったことが、大きな課題だ。

住吉が入れ替われたシーンを問題視するのは簡単である。だが、ここでボールを取りきれば、再び広島の攻撃のターンとなるわけだ。今の広島は、そういう認識のもとで守備をする。引いてブロックをつくるのが優先項目ではない。住吉の問題はボールを奪いきるところの技術やスキルであって、判断ではない。むしろ、彼のような「ボールに向かって守備をする」意識が薄くなり、強度が落ちたことが問題ではないかと考える。

2本目の7分、途中出場の浅野雄也が魅せた。荒木隼人のボールを受けてのドリブルで一気にボールを運び、前にDF が揃っているにもかかわらず、自身の左足を信じてボールをハードヒット。得意の巻いて打つシュートではなく、豪快なパワーショットでネットを揺さぶったのは、明確な成長である。

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