SIGMACLUBweb

【サンフレッチェ広島レジーナ 4-0 ちふれASエルフェン埼玉】ゾーンに入った上野真実、5試合6得点の爆発。

こんな崩しができたら理想だろうな

サッカーをやっている人であれば、誰もが想像するゴールをレジーナが表現した。EL埼玉戦での先制点は、そんな誇りを持っていい質をもっていた。

最終ラインでゆっくりとボールを回し、中村楓から縦にクサビ。谷口木乃実がしっかりとおさめ、柳瀬楓菜へ。左サイドでキープした柳瀬から木﨑あおい。中嶋淑乃とのワンツーから木﨑がダイレクトで谷口へ。そして中嶋にスルーパス。

クロス。

PA内には上野真実がいた。

DFが2人、彼女を監視していた。ゴールまでの道のりは難しいか。

だが、上野には「シュートコースが見えていた」という。「そこに流せばいいと思ったんです」

いわゆる《ゾーン》に入ると、周りが止まって見えたり、打つべきコースが光って見えたりすることがあるというが、今の上野はその領域に入っているのかもしれない。5試合6得点は、そうでなければできない離れ業だ。

決して簡単ではないシュートを上野が決めたことで、広島の組織がつくったアートは完結した。左サイドでのコンビネーションは、木﨑と中嶋のパス交換以外は全て3人目。特に、中嶋→木﨑→谷口→中嶋という流れは、一流のシェフがディナーをつくる時に見せる流麗かつ機能的な手さばきにも似ていた。

松原優菜の強烈な右45度からの左足シュートが決まって、2-0。後半、自分たちのミスから相手を引き込む形になってしまったものの、途中出場の島袋奈美恵のパスを同じく途中出場の立花葉が「ずっと練習していた」という左足ミドルで叩き込むWEリーグ初ゴール。

さらにまたも島袋のクロスを上野がファーサイドで押しこむ、佐藤寿人を彷彿とさせるようなゴールを決めて4-0。今季最多得点を決めたレジーナはI神戸戦に続く連勝を飾った。

 

広島はこの結果、勝点21となって6位に浮上。ただ、残り2試合で5位のマイナビ仙台との差が7ポイント差となっていることから、広島は6位以下が確定した。また、10位のちふれASエルフェン埼玉との勝点差が8ポイントとなっていることから、9位以上も確定した。

また、上野真実は合計8得点となり、得点ランキングの4位に浮上。現在、得点ランキングトップは菅澤優衣香(浦和)の12得点。もし次節、彼女がハットトリックを達成し、菅澤や白木星(マイナビ仙台)、田中美南(I神戸)の9得点グループが足踏みをしたならば、一気に得点女王争いに名乗りをあげることになる。もちろん、ハットトリックなど簡単にはできないが、今の上野であれば、できるのではないか。そんな想いにさせてくれた快勝劇だった。

 

(了)

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ