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【広島 1-0 名古屋】難しい前半を一変させた、ミヒャエル・スキッベの不思議。

 頭と身体がボーッとしているのではないか。

 そんな感覚が、ピッチの中には漂っていた。

 いつものような球際の鋭さを欠き、切り替えも一瞬、遅い。コンビネーションもあわず、ズレが生じていた。

 2日間、身体を動かせなかったことは、選手たちに大きなダメージを与えていた。試合ができるかどうかもわからない不安定な時間は、メンタル的にもフィジカル的にも調整することの難しさを突き付けた。よく言われる「身体が起きない」という現象に加え、「頭も起きていない」という状況にあった。臨戦態勢に入れていないのだ。

 選手としては、いつもどおりに集中して入ろうしたはずだ。だが、人間は意志だけでコントロールすることは難しい。頭も、身体も、意志とは無関係のところで動きがちになる。

 ただ、そのちょっとした鈍さは、ハイレベルな相手に対しては致命傷となりうる。実際に、そうなりかけていた。

 2分、自陣でボールを失い、左サイドを崩された。あっという間に裏をとられ、柿谷曜一朗にクロスを入れられる。入ってきたマテウス・カストロに合わなかったからよかったが、このタイミングがあっていれば、間違いなく失点していた。柿谷もフリー、荒木が真ん中から左サイドに引き出されたことによって、中もフリーになっていたからだ。

 3分、今度は右サイドを相馬勇紀に崩され、クロスを入れられている。3連勝中の名古屋に対して、防戦一方になるのか。もし、先に失点してしまったら、この試合までの明確な準備不足がプレーにも表れてしまうかも。そんな恐怖は確かにあった。

 4分から、セットプレーのチャンスが続いた。野津田岳人のCKから満田誠の右足ミドルは相手のDF陣をブチ抜く、まるで日向小次郎(キャプテン翼)のような破壊力に満ちていた。さらに6分、野津田のFKに佐々木翔が飛び込んだシーン、強烈なボールをランゲラックが弾き、柏好文が押しこもうとした決定機。これらのビッグチャンスのうち、どれかが入ってくれれば雰囲気も変わるのではないかとも思った。だが、柿谷のクリアが、その希望を打ち消した。

 ここでランゲラックが負傷し、武田洋平が入る。絶対的な守護神の交代とはいえ、武田は経験があり、カップ戦でも出場している。おそらく、名古屋にはそれほどの不安はなかったはずだ。実際、武田のプレーは安定しており、途中出場のGKにありがちな「気持ちの入り過ぎ」もなかった。

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