「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【マッチレポート】ニューイヤーカップ FC琉球 vs 東京ヴェルディ(2016/01/27)

●東京ヴェルディ スターティングメンバー
GK 1   柴崎貴広
DF 15 ウェズレイ
DF 23 田村直也
DF 5   平智広
MF 19 大木暁
MF 28 楠美圭史
MF 14 澤井直人
MF 24 林昇吾
MF 11 南秀仁
MF 16 中野雅臣
FW 9  アラン・ピニェイロ
(ベンチメンバー:GK26長谷川洸。DF2安西幸輝、3井林章。MF13船山祐二、20井上潮音。FW7杉本竜士、18高木大輔)

■3バックにトライ

1月27日、2016Jリーグ・スカパー! ニューイヤーカップ沖縄ラウンド第2戦、東京ヴェルディはFC琉球と沖縄・西原町民陸上競技場で対戦した。

東京Vの布陣は、GK柴崎。DFは右からウェズレイ、田村、平。中盤の底に楠美と澤井。右ワイドに大木、左に林。南、中野のツーシャドー、アランのワントップという形である。

先制したのは琉球。11分、南のドリブルを止めた田辺圭佑が前線にロングパスを送り、最終ラインの裏に抜け出した藤澤典隆がGKとの1対1を制してゴールネットを揺らす。

一方、東京Vはなかなかエンジンがかからず、精度の低いダイレクトパスでボールを失うシーンが目立った。この時期はいくらでもトライし、失敗から学べばよいのだが、場面によっては自分のところでボールを失うことを恐れた責任逃れのように見えてしまう。

「僕と雅臣のツーシャドーにいいボールが入らず、焦れて下がってパスをもらうことが多かったですね。その結果、アランを孤立させてしまった。今日は3バックの形で、それぞれフォーメーションの立ち位置を探りながら戸惑った面もあったかもしれない」

と語るのは南。今季の始動早々、ノロウイルスに感染し、練習に合流したのは22日になってからだ。ようやく復帰を果たしたばかりで、「相手と当たったとき、まだ下半身に充分力が入らなくて」と苦笑い。今後、コンディションは上昇の一途をたどるだろう。

その日の東京Vの出来不出来をはかるには、選手同士の距離感を観察ポイントにするのが手っ取り早い。近すぎず、遠すぎず、適切な距離感を保てていれば、パスがスムーズに回り、2人目、3人目の動き出しが自然と生まれる。同時に守備の対応も迅速に行える。

この点について、冨樫剛一監督は言う。

「人を替え、システムを変えていくなかで、そう簡単にすべてがうまくいくとは思っていません。徐々に自分たちの形が見えつつあり、過程においてしっくりこない部分が出てくるのはある程度想定しています」

■「どんな試合でも勝つんだという気持ち」(船山)

試行錯誤のただ中にある東京Vにとって、75分の2失点目は決定打となった。後半から投入された新加入の船山は次のように語った。

「全体的に勝ちにいく姿勢が足りなかったかなとは思いますね。キャンプで負荷をかけている段階で身体が重いのはたしかなんですけど、どんな試合も勝つんだという気持ちは持っていなければいけない。形にこだわり、指示に忠実であろうとするのは、日本人の長所でもあり短所でもある。誰かが動き、そのスペースを誰かが率先して埋める。繰り返していくことで流動性が生まれる。サッカーはシンプルなんですよ」

コメントの後半部分は、海外でのプレーを経験した選手ならではの述懐だ。船山は今大会2試合連続出場となったが、「次も行けと言われれば行きます」と力強く語った。

さて、ニューイヤーカップの締めくくりは、宿敵であるFC東京とのダービーマッチだ。沖縄は遠いから我慢しようと思ったのに、居ても立ってもいられず飛行機に飛び乗ってしまったサポーターを僕は何人か知っている。

「楽しみですね。ゴールを奪って勝つ。点を取って、取られずに勝つことを一番のテーマにしたいと思います。自分が何を言わずとも、あのユニフォームを見れば選手たちは勝手に盛り上がりますよ。アカデミーの頃から、散々煽ってきましたから。勝負にこだわるからこそ、パスの精度やランニングのスピードなどの細部がよりクローズアップされるでしょう。カテゴリーは相手が上ですが、自分たちのプライドを持ってしっかり戦いたい」(冨樫監督)

ひょっとすると、期待の長身ブラジル人FW、ドウグラス・ヴィエイラのお披露目もあるのだろうか。

「コンディション次第です。よい状態を保っているようだったら少し使ってみたい」と、指揮官は起用を匂わせた。

 

試合後、出場しなかった選手、時間の短かった選手らは1時間のトレーニングを行った。

試合後、出場しなかった選手、時間の短かった選手らは1時間のトレーニングを行った。

(了)

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