「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【練習レポート】トレーニングマッチ vs 明治大『かじ取りに苦しみ、ドロー』(2016/02/21)

2月21日、東京ヴェルディは明治大学と45分×2のトレーニングマッチを行った。開幕戦を想定した昨日の柏レイソル戦のメンバーに、ここから食い込んでいく選手はいるのか注目された。

GK 26 太田岳志
DF 19 大木暁
DF 28 楠美圭史
DF 5  平智広
DF 24 林昇吾
MF 30 高木純平(32分 35深沢大輝/東京Vユース
MF 13 船山祐二(46分 27郡大夢)
MF 14 澤井直人(56分 37松本幹太/東京Vユース)
MF 20 井上潮音
MF 16 中野雅臣(70分 33平田竜士/東京Vユース)
FW 29 北脇健慈(84分 34中根玄暉/東京Vユース)

前半:0-0
後半:1-1(78分 林)

■ボーダーライン付近の選手にはチャンス

北脇健慈が、前のめりに走る。タッチライン際で競り合い、ベンチの選手たちのなかに身体ごと突っ込む。むくっと起き上がり、水をガブッとひと飲み。すぐさまピッチに駆け出していく。ボールを受けて反転、ドリブル開始。相手を振り払ったはずみに、すね当てがソックスから飛び出そうがお構いなしだ。おそらく北脇は、両足のスパイクが脱げようと前進をやめない。

北脇が激しいアクションを起こす度、ピッチに視線を送る選手たちの間から小さな笑いがもれた。「あれは、ケンジくんすごいなって笑い。誰もあそこまでできないですよ」(高木大輔)

1週間後の今日、J2は開幕する。これまで東京Vは主力に故障者が相次ぎ、苦しい試行錯誤がつづいている。ゲーム内容は湿りがちで、どうもぱっとしない。特に中盤の構成が定まらず、ボーダーライン付近の選手にはまだチャンスが残されている。だったらせめて、監督の目に留まる好機とギラギラしている選手を見たいものだ。北脇の全身アグレッシブスタイルを目の当たりにし、期待感は高まった。

ところが、その希望はあえなく萎んでしまう。37分、大木がクロスを入れ、井上のヘディングシュート。39分、中野が左サイドをドリブルで突き抜け、フィニッシュまで持ち込んだ。前半、記憶に残るプレーは、このふたつくらいのものだ。

32分、高木純が下がり、さらに船山が交代すると、途端にチームの軸が見えなくなり、かじ取りがあやふやになった。味方へのコーチングの前に、能動的に声を出して意思表示する選手が少ない。

後半、東京Vは1列ポジションを上げた林がゴールを決めて先制。しかし、3分後にはセットプレーから同点に追いつかれる。1‐1。ちぐはぐのまま90分を終えた。

ひとつ一つのプレーを見て楽しむということなら、退屈はしなかった。井上のトラップはやはり絶品。面白いように相手の逆を取る様は痛快だ。郡の高さは武器になる。冒頭に触れた北脇、そして澤井の頑張り。中野は自分の形に持ち込めれば、縦にぐいぐい行ける。だが、それらはあらかじめわかっていたことだ。新たな発見には恵まれなかった。この時期において、がむしゃらに走りまくっていたユースの平田が最終的に印象に残るようではトップの名折れである。

※監督・選手コメントはのちほど掲載します。

 

33分、先制ゴールを決めた林昇吾。

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