「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-21[A] ギラヴァンツ北九州戦『困難を分かち合う』(2016/07/04)

2016年7月3日(日)
J2第21節 ギラヴァンツ北九州 vs 東京ヴェルディ
18:33キックオフ 北九州市本城陸上競技場
[入場者数]2,864人 [天候]曇、無風、気温27.6℃、湿度90%

北九州 2‐1 東京V
前半:0‐1
後半:2‐0
[得点]
0‐1 杉本竜士(29分)
1‐1 原一樹(54分)
2‐1 原一樹(56分)

●東京Vスターティングメンバー
GK31 鈴木椋大
DF23 田村直也(80分 安西)
DF15 ウェズレイ
DF3   井林章
DF6   安在和樹
MF20 井上潮音
MF8   中後雅喜
MF14 澤井直人
MF7   杉本竜士(57分 二川)
FW10 高木善朗(64分 高木大)
FW17 ドウグラス・ヴィエイラ
(ベンチメンバー:GK26太田岳志。DF2安西幸輝、5平智広。MF11南秀仁、32二川孝広。FW18高木大輔、27郡大夢)

監督 冨樫剛一

■ぬるいサウナ状態

視界は一面の灰色。どしゃぶりの雨である。本城陸上競技場の最寄り、JR折尾駅に降り立った僕は悄然と立ち尽くしていた。そこへ偶然現れた、知り合いのヴェルディサポーターKくん。「スタジアムでは雷がゴロゴロ。みんな倉庫に避難しているらしいっす!」と最新情報を届けてくれた。

ひとりでは心細く感じる過酷な状況も、ふたり以上ならテンションが上がる。

「これじゃあ、二川の必殺スルーパスが泥んこのピッチに殺されるぞ」
「それはまずいですね」
「まさか、高さのある郡をサブに入れたのは、この天候を見越してか?」
「デビュー戦でいきなりゴールなんてことになったら」
「有頂天になるのが目に浮かぶね。彼は久しぶりに登場した、超大型ファンキーボーイだ」
「とりあえず、中止は回避してもらいたいなあ。せっかく休みをとって来たのに、試合が観られないのはつらい」

などと言い合いながら、シャトルバスに乗ってスタジアムへ。やがて雨は上がり、空から晴れ間がのぞいた。気になって真っ先に確認したピッチ状態は、さっきまでの大雨がうそのようにきれいな緑の絨毯。抜群の水はけ、排水機能を備えている。どうやら僕らの心配はすべて杞憂に終わったようだ。落雷の危険も去り、予定より30分遅れでキックオフの笛が吹かれた。

先制したのは東京Vだった。29分、井上のコーナーキックに、ドウグラスとウェズレイが空中で競り、こぼれ球を杉本が押し込んだ。ノートに得点経過を書き込む僕の意識はもうろうとしている。風がそよりとも吹かず、湿度90%のぬるいサウナ状態。むろん、プレーする選手たちの労苦はこの比ではない。前半、東京Vは右サイドの奥のスペースを中心に攻め込み、守りに人数をかける北九州をほぼ危なげなく封じた。

(残り 3243文字/全文: 4319文字)

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