「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【マッチレポート】J2-29[H] 横浜FC戦『かくも1点は遠く』(2016/08/15)

2016年8月14日(日)
J2第29節 東京ヴェルディ vs 横浜FC
18:06キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]7,235人 [天候]曇、弱風、気温28.1℃、湿度63%

東京V 0‐2 横浜FC
前半:0‐0
後半:0‐2
[得点]
0‐1 イバ(66分)
0‐2 永田拓也(90+4分)

●東京Vスターティングメンバー
GK31 鈴木椋大
DF2   安西幸輝
DF3   井林章
DF5   平智広
DF6   安在和樹
MF13 船山祐二
MF8   中後雅喜
MF14 澤井直人
MF10 高木善朗(73分 二川)
FW29 北脇健慈(81分 高木大)
FW7   杉本竜士(58分 アラン)
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。DF15ウェズレイ。MF23田村直也、32二川孝広、33渡辺皓太。FW9アラン・ピニェイロ、18高木大輔)

監督 冨樫剛一

■どこかで入るんじゃないかの落とし穴

高木大輔が大きく手を広げ、早くボールをセンターサークルに戻せと怒っていた。がっくり肩を落としている場合かと。

後半アディショナルタイム、東京ヴェルディは横浜FCに勝負を決定づける追加点を許し、0‐2とされた。捨て身の総攻撃を仕掛け、やむなく失った点ではない。始まりは相手のスローインから。ナ・ソンスを3人で囲い込んだがボールを奪えず、中に侵入されてしまう。井林章は背後の内田智也を気にし、前に出られない。安西幸輝も内田の動きに引っ張られた。そこから逆サイドを駆け上がってきたフリーの永田拓也にパスをつながれ、シュートを突き刺された。

守備の人数はそろっていたにも関わらず、アンバランスになっていた隙を突かれてのダメ押しゴールだ。勝負どころの集中力の差であり、組織の脆弱性、目を背けられない事実がショックを倍加させた。

高木大は万事休すを受け入れず、いきり立っている。キックオフし、すぐさま前に走った。いつか、この姿勢がミラクルを起こすこともあるだろう。ただ、今日はその日ではなかった。東京Vは最後の決定機、二川孝広のボレーシュートを放ち、こぼれ球を井林が頭で押し込もうとしたが枠を逸れ、このままタイムアップとなった。

ゲームを振り返れば、東京Vが軽快にボールを回していたシーンと、ふたつの失点シーンしか浮かばない。悔やまれるのは、攻め込んでいた前半、あとひと押しが足りなかったところだ。

船山祐二は言う。

「前節のツエーゲン金沢戦を勝ち、ゲームの入り方は良かった。明らかに相手よりうちのほうが動けていた」

中3日、中2日と続いた真夏の3連戦の締めくくり。東京Vは前節とまったく同じメンバーで臨んだ。疲れはあったはずだが、選手たちはそれを感じさせない活発な動きを見せた。ここで連勝しなければいつするんだと、旺盛な気力が身体を支えてもいたのだろう。

「相手の緩さもあり、このままボールを支配していれば、どこかで入るんじゃないかという雰囲気に。向こうに合わせたつもりはないんですが、だんだんまったりした空気になっていった」

ボールは握れている。球際の激しさもあり、リズムは悪くない。チャンスをつくれそうな気配もあった。実際、僕もゲームを見ながらそう感じていた。そこが甘いんだよと言われれば、返す言葉はない。

「前半のシュート数は5本。もっと打つべきでしたね。シュートで終わることを徹底すべきだった。僕にも大きなチャンスが一度あり、完全にフリーだったのに余裕を持てなかった」

40分、船山は右サイドからひとりかわしてボックスに入り、左足でニアサイドを狙ったが南雄太に止められている。「いつもならファーに巻くシュートを打つ場面。なぜインステップだったのか。思い切って強いシュートを打とうとしたのが失敗だった」と顔をしかめた。

「結果、0‐2ですからね。ポゼッションで優位に立ちながら、点を取れずに負けた。サッカーは結果を出すチームが強い。それを認めなければならない」

ポゼッション率で上回り、決定機の数でも相手を寄せつけなければ、不運な敗戦と片付けることもできる。だが、このゲームはそうではない。横浜FCは押し込まれながらも、イバを中心に東京Vと伍する決定機を生み出している。

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