「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-33[H] ジェフユナイテッド千葉戦『補い合ってこそのチーム』(2016/09/26)

2016年9月25日(日)
J2第33節 東京ヴェルディ vs ジェフユナイテッド千葉
16:03キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]6,121人 [天候]晴、弱風、気温26.0℃、湿度72%

東京V 1‐1 千葉
前半:1‐0
後半:0‐1
[得点]
1‐0 アラン・ピニェイロ(24分)
1‐1 吉田眞紀人(87分)

●東京Vスターティングメンバー
GK31 鈴木椋大(46分* 柴崎)
DF19 大木暁
DF3   井林章
DF5   平智広
DF6   安在和樹
MF20 井上潮音
MF13 船山祐二(82分 田村)
MF9   アラン・ピニェイロ
MF32 二川孝広(72分 杉本)
MF10 高木善朗
FW17 ドウグラス・ヴィエイラ
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。DF2安西幸輝。MF11南秀仁、23田村直也、33渡辺皓太。FW7杉本竜士、18高木大輔)

監督 冨樫剛一

■3つのシークエンス

通常、サッカーのゲームは両者の色が入り混じり、時間の経過にともなって複雑なグラデーションを描くものだが、この試合は色合いのはっきりした3つのシークエンスに分かれる。

ひとつ目は、ゲーム開始から東京ヴェルディが先制点を挙げた24分あたりまで。

ふたつ目は、リードを奪った東京Vがやや引き気味となり、ジェフユナイテッド千葉がペースをつかんだ中盤の時間帯。

3つ目は87分に千葉が同点に追いつき、アディショナルタイム6分を含める終盤の白熱した攻防。

互いにゲームコントロールが未熟で、90分を通しての持続力が課題とも言えるが、アップダウンの落差を楽しめた試合だった。

ゲーム序盤、主導権を握ったのは東京V。ピッチの横幅を最大限に使いながらボールを動かし、遠目からのシュートやサイドアタックで千葉のゴールに迫る。20分まで東京Vは4本のシュートを浴びせ、相手には1本のシュートも打たせなかった。

得点の可能性を最も感じたのは、16分のドウグラス・ヴィエイラのポストプレーだ。ボックスの手前、高木善朗のパスを足元に収めたドウグラスは器用に旋回し、アラン・ピニェイロにシュートを打たせている。千葉のバイタルエリアをどう攻略するか。攻撃の狙いを明確に示した場面だった。

当然、いまの時間帯に点がほしいと思ったが、哀しいかな今季の東京Vは僕の期待どおりになった試しが数えるほどしかない。いい気になっていたところ、逆にカウンターを食らって失点し、シュンとなることのほうが多かった。

ところが、この試合の東京Vはひと味違う。24分、高木善の右コーナーキックに合わせ、アランのバイシクルシュートが炸裂。マークに付いていた丹羽竜平を左腕で押さえ込み、宙に身体を躍らせて右足を振り下ろした。アランのフィジカルの強さと技術が可能にしたスーパーゴールだ。勝負どころでびしっとキメてくれると、じつに気持ちがいい。

一気呵成に畳みかけるか、それとも相手が前に出てくる反動を利用してカウンターを狙うか。差しあたって陣形を整える東京Vは、どうやら後者を選んだ様子である。ここで速攻により追加点を奪えればもっと気持ちいいと思ったが、やはりそううまくは事が運ばなかった。千葉が思ったほど前に人数をかけてこなかったせいもあるが、東京Vのカウンターは斬りかかる迫力がいまいち。切り替えの早さと走力で、数的優位の状況をつくり出せなかった。結局、千葉に主導権を譲り渡した格好で前半を終了する。

ここで、東京Vにアクシデント。前半終了間際、町田也真人と交錯した鈴木椋大が、脳震盪の疑いにより後半の出場を見合わせ、柴崎貴広がゴールマウスに立った。

後半、ネジを巻き直し2点目を取りに行こうとした東京Vだったが、形勢は千葉に傾いたまま。すっかり守勢に回らされ、苦しい戦いを強いられる。

中盤の底で守備に身体を張り、どうにか踏ん張ろうとチームを支えている選手がいた。船山祐二だ。

「後半は引きすぎましたね。前半の攻撃的な戦い方を継続できればよかったんですが」

(残り 1753文字/全文: 3347文字)

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