「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第16回 手を振って別れた(17.1.22)

AC長野パルセイロに期限付き移籍で加入する大木暁。

AC長野パルセイロに期限付き移籍で加入する大木暁。

大木暁は、AC長野パルセイロに期限付き移籍となった。東京ヴェルディユース、駒澤大学で寮生活を経験しており、ひとり暮らしには慣れっこだろう。1月16日、大木は住まいを長野に移した。

「初めての他県ですからね。緊張感がちょっと違います。こっちの人はあったかいですよ。人のぬくもりってやつが感じられます」

相変わらず、調子のいいことを言っている。引っ越して1週間にも満たないのに、人のぬくもりがわかるのか。

「優太くん(都並敏史氏の次男。東京Vユース、関西大を経て長野に加入)がごはんに連れてってくれて。がんばってねといろんな人から声をかけてもらい、町ぐるみでチームを応援してくれているのがよくわかった。おれ、やりますよ。長野がJ2に昇格するために精一杯やります」

と、どうやらテキトーな感想を言ったわけではないようである。僕自身が九州の田舎者だからわかるのだが、よそ者に対する人のぬくもりと冷酷さは表裏一体だ。大木よ、心してかかるべし。

今回の期限付き移籍は、クラブ側の提案に大木が同意する形で話が進んだ。大木としても外の世界に興味があり、新たな刺激の必要性を感じてもいた。

今年で25歳を迎える中堅選手の期限付き移籍は、若手のそれとは意味合いが異なる。先につなげるためには、結果で自身の価値を証明するしかない。

「ヴェルディは、選手もスタッフもサポーターもいい人たちばかりだったなあ。活躍して、みんなをぎゃふんと言わせたいです。帰ってこいと言われ、いやどうっすかねえともったいぶるくらいになりたい」

僕も、ぎゃふんと言わせてもらえれば本望だ。信州の地で、飛躍の足がかりをつかめ。

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