「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第16回 手を振って別れた(17.1.22)

渋谷亮は、ラインメール青森へ。

渋谷亮は、ラインメール青森へ。

昨季、鈴鹿アンリミテッドFCに期限付き移籍した渋谷亮は、ラインメール青森FCへの期限付き移籍が決まった。地域リーグからJFLへと一段レベルを上げることになる。

「引っ越しが済んだのは13日。とにかく寒いです。想像していたより、ずっと寒かった」

渋谷はそう言って笑った。東北の厳寒期はさぞかし身に堪えるだろう。

「ヴェルディからは今季も外で実戦経験を積んだほうがいいと説明を受け、チームを探してもらいました。そのあたりの受け止め方は以前と変わりましたね。前は、どうして使ってくれないのかと思っていたけど、自分の力が足りないとわかったいまは、成長するために必要だと受け入れられるようになった」

昨季、鈴鹿はJFL昇格の懸かった全国地域サッカーチャンピオンズリーグに進出したが、決勝ラウンドで3位敗退。あと一歩で昇格を逃した。

4チームで争われた決勝ラウンド第1節のFC今治戦、渋谷は前半で交代。鈴鹿は1‐2で敗れた。第2節の三菱水島FC戦、渋谷の出場はなし。鈴鹿は3‐0で勝利を収める。のるかそるかの大勝負となった第3節のヴィアティン三重戦、渋谷は後半から投入されたが、鈴鹿はそこから2失点し、1‐4の敗戦を喫している。これにより、今治と三重がJFL昇格を決めた。

「落ち込みました。使ってくれた監督、支えてくれた人たちに申し訳なくて。僕の思い描くチームのバランスを取り、リズムを生み出す仕事ができなかった。力不足を痛感させられましたね。昨年、鈴鹿で1年間お世話になり、わかってきたことがあります。やはり、ひとつのパスを取っても、試合では要求される精度が違う。自分は大事なところでミスが出る。もっともっと精度を高め、そこで違いを示せる選手にならなければ」

渋谷には、やるべきことがはっきり見えている。目指すべき場所もブレていない。

「青森はこれからのクラブで、J3昇格のために3年計画で土台固めをしていると聞いています。自分の力をそこに少しでも役立てたいです。個人的には、鈴鹿でJFL昇格を争った今治と三重には負けられない。絶対に負けたくない。ヴェルディには、昨年から一段レベルを上げてチャレンジできる環境を与えてもらい、感謝しています。この先、どうなるかは自分次第。選手として成長できれば、ヴェルディでプレーできるチャンスをつかめる。結果を出し、胸を張って帰りたいです」

千葉、長野、横浜、そして青森も、サッカーがつなげてくれた縁である。広い世界を見られるのは、渡り鳥の特権だ。この際、未知なる環境を面白がってナンボじゃないか。またいつか、どこかで会える日を、僕は楽しみにしている。

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