「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【新東京書簡】第十五信『なんとか3勝&瓦斯枠について』後藤(17.3.22)

新東京書簡

第十五信 なんとか3勝&瓦斯枠について

■グループとして戦う姿勢を明確化した東京

J1とJ2がそれぞれ4節を消化した時点で、FC東京と東京ヴェルディがそれぞれ3勝1敗。開幕からなかよく上位で滑り出した恰好になっている。
でも、ともに楽な勝ち方をしてきたわけじゃない。青赤読者のみなさんのためにかいつまんで説明すると、ヴェルディは開幕戦を落としたあと、第2節は攻勢に出てきた大分トリニータ相手に先制点を守りきってのしぶとい勝利を挙げ、第3節ではやはりリズムを掴みかけた水戸ホーリーホックに退場者が出た隙を逃さず畳み掛けての大勝、第4節ではレノファ山口FCに主導権を握られながらもセットプレーとPKで着実に加点する渋い試合運びによりアウエーでの貴重な勝利と、手堅さを感じる内容で勝点を重ねてきている。スコアはそれぞれヴェルディから見て1-0、4-0、2-0の完封。
振り返れば東京も勝った試合は1-0、2-0、3-0の完封だ。図らずも堅い守備が勝利を手繰り寄せるという現実を首都の2チームが示している。

海江田さんおすすめの鈴木優磨は、小川諒也と同世代の元気者ということもあって、かねてから注目してきたし、開幕戦でも警戒していた。でも今シーズンの東京は、相手の個を過度に考慮するようなチームじゃないんだよね。林彰洋は守備組織の辺りをイメージしてか「ユニット」という言葉をさかんに使っているけれども、要は集団。対戦相手にグループで対処すること、選手個々をグループに溶け込ませることが重要なテーマなんだ。
鹿島アントラーズとの第1節で言えば激しいセカンドボールの拾い合いをいかに制するかに焦点が定まっていたし、川崎フロンターレとの第4節ではさらに一歩進んで、下手にアプローチに行くとかわされてしまう相手に対し、食いつきにいくべき正しいタイミングを見計らっての中盤守備がキモだった。

篠田善之監督は多摩川クラシコのあと「ゲームをコントロールしていたのはわれわれだ」と胸を張った。それはこういう根本の戦い方で相手を上回り、最終的には自分たちが手を打ちやすいリズムでボールを動かせている確信があったからだと思う。
ガンバ大阪との第3節は、グループとしてうまくいっていなかったから負けた。そこで悪いものがたくさん出てすっきりしたおかげで、直後のルヴァンカップとJ1第4節で具合がよくなったという塩梅なんだ。雨降って地固まる。
個を気にしすぎず、グループとして対処する。それが、かなりうまくやれている。豊富なキャリアを持ち名将の誉れ高いロティーナさんと同格かと言われるとちょっと答えにくいけれど、新しい選手を何人も補強したこのチームの舵取りを、篠田さんはよくやっていると思う。

前回、海江田さんは「FC東京大丈夫なの?」というニュアンスで心配してくれたよね。その点で言うと、勝って大喜びはしても、全然安心してないってのが正直なところ。たしかにユニフォーム投げ捨ての末の古巣への初ゴールはドラマチックではあったけど、こちとら第4節で大久保嘉人がようやくチームの一員になったところだからね。まだまだこの先、いつもの中位に落ち着いちゃう可能性は残っているんだから、いまの段階では「優勝の夢がちょっと延命したな」くらいのつもりでいますよ、ええ。

大久保嘉人もグループに溶け込むことで真価を発揮した。

大久保嘉人もグループに溶け込むことで真価を発揮した。

FC東京からは髙萩洋次郎(写真)、森重真人、林彰洋が日本代表に選出された。

FC東京からは髙萩洋次郎(写真)、森重真人、林彰洋が日本代表に選出された。

■日本代表、瓦斯枠の怪? いやいや、仮想ガンバの中盤再現?

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