【無料記事】【練習レポート】左サイドの定位置争いに異状あり(17.6.23)
■林昇吾のデビュー戦
21日の天皇杯2回戦ジェフユナイテッド千葉戦は、0‐1の惜敗。だが、ロティーナ監督はこれまで出場機会のなかった選手、故障明けの選手のパフォーマンスをチェックできたとして、「とても収穫のあるゲーム」と語った。
攻守に奮闘した林昇吾はそのひとつに違いない。プロ2年目で迎えたデビュー戦、これまで地道に力を培い、着実に成長していることを証明した。
「昇吾の見せたパフォーマンスは、特に驚きではありませんでした。あれくらいできることは、ふだんのトレーニングやトレーニングマッチを見ていれば充分に予想できたことです。なお、彼はサイドだけの選手ではありませんよ。ボランチやセンターバックでもプレーが可能です」(ロティーナ監督)
千葉戦後半のチャンスの場面、力を振り絞ってスプリントを仕掛けた林は、井上潮音のスルーパスをトラップして右足がつり、ドウグラス・ヴィエイラにパスを出して左足がつった。きれいにワンツーのタイミングで両足をつり、ピッチから退いている。見事なほどやり切った感があった。
林は言う。
「初めてのわりには落ち着いてプレーできましたね。ワンタッチで中に入っていくプレーやクロスなど、持ち味を出せた部分もあった。ただ、結果につながらなかったので、自分の出来がよかったとは思いません」
やっとスタートラインに立ったばかりだ。同期の井上はだいぶ前を走っている。
「この1年半、試合に出られるまで長かった。1年目の最初はプロのレベルの高さに圧倒されていましたが、シーズンが終わる頃にはだんだん自信がつき、自分もやれるという感触を持っていました。潮音の活躍は気にはなりましたけど、あいつ、いいヤツなんで。試合に出始めても、態度や振る舞いが一切変わらなかった。だから、潮音には(ドツボに)ハマってほしいとか思うことはなかったですね」
ということは、場合によっては、ハマれと呪うことがあるんだな。ちょっと怖いぞ、林。
また、17日のJ2第19節の愛媛FC戦と天皇杯の千葉戦、体調不良でメンバー外となった平智広は20日からトレーニングに復帰している。
「コンディションはもう大丈夫。自分を使ってくれるかどうかは監督の判断次第ですが」(平)
平の穴は畠中槙之輔が埋め、千葉戦では対人プレーの強さを生かし、傑出したパフォーマンスを示した。
林、畠中の台頭に加え、両サイドをこなし守備的なポジションならお任せの田村直也もいる。不動と見られていた左サイドの定位置争いが、にわかに活気を帯びてきた。