「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第22回 星に願いを(17.7.7)

第22回 星に願いを

ダセえな――。

心の底から落胆する高木大輔はピッチに突っ伏し、しばらく顔を上げられなかった。

6月21日、天皇杯2回戦、ジェフユナイテッド千葉戦。1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイム、高木大に絶好のチャンスが訪れる。オフサイドラインをかいくぐって裏に抜け出し、そこへ二川孝広からドンピシャのタイミングでスルーパスが放たれた。

高木大がダイレクトで打ったシュートは、ゴールネットに到達することなく、飛び出してきた佐藤優也に阻まれる。ほどなくして、終了を告げるホイッスルが鳴った。東京ヴェルディは0‐1で敗れた。

「優也くんが飛び出してくるのが見えて、いろんな選択肢が浮かびました。ループか、それともドリブルでかわすか。最終的にはファーに巻いて決めようと思った。フタさんが僕の動きをちゃんと見ていて、スルーパスを出してくれたんですが、パスの角度がほんの少しイメージとズレたんです。僕の考えていたシュートのポイントより手前だった。それでやや足の後ろ部分でミートすることになり、狙ったところにボールを飛ばせなかった。決めなければいけないシュートでしたね、あれは」(高木大)

そう、ストライカーならゴールに叩き込んで当然の場面だった。彼らにとって、惜しいなんて言葉は侮辱と同義だ。今季、高木大は16試合1得点にとどまっている。

2017シーズンも半ばを過ぎた。ロティーナ体制の初年度、東京Vは5位につける。上出来だ。ただ、個々の選手に目を配ると色合いは複雑で、なかには沈んだトーンも目につく。

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