【フットボール・ブレス・ユー】第29回 ガンバの血脈(17.11.8)
第29回 ガンバの血脈
6日、書店に並んだ『フットボール批評 issue18』の取材では、ガンバ大阪の上野山信行取締役、梅津博徳ジュニアユース監督に話をうかがった。テーマは、井手口陽介について。なぜG大阪のアカデミーは、トップ・オブ・トップで活躍するプレーヤーを生み出せるのか、というものである。
この取材には、もうひとつ裏テーマがあった。それは、なぜG大阪にできることが、東京ヴェルディにはできないのか。ともに多数のプロ選手を輩出する、日本屈指の育成組織だ。数だけなら差はない。年代別代表の実績もいい勝負。だが、フル代表クラスまで到達し、しかもそこで結果を出す選手となると歴然たる差がある。それはもう、めぐり合わせや運では片付けられない、明白な差だ。
どうせ大阪までいくのだから、ついでにお土産を持って帰ろうという腹づもり。昨年までユースを指導していた梅津監督は言った。
「上手な選手は多いですよね。最近見たなかでは、藤本寛也、渡辺皓太、あと井上潮音も巧かったな。ただ、なんでしょう。うちとヴェルディでは、巧さの概念が違う」
梅津監督はとっつきにくさはあるが、ストレートな語り口が魅力的な人物だった。巧さの概念の違いとは、具体的に何を指すのか。いいお土産を持たせてもらい、僕はご機嫌で帰りの新幹線に乗った。
現在のチームには、二川孝広、橋本英郎、内田達也といったG大阪の育成上がりの選手がいる。両方を知る彼らに話を聞かない手はない。
二川は言う。
「僕の印象では、どちらとも技術的には高いレベルにあると思います。でも、そこにくっついてくる部分には違いがあるかもしれませんね。たとえば、ドリブル。ボールを運ぶのが上手だったとしても、それだけではサッカーができませんから。ポジショニングであったり、スペースに走るタイミング、サッカーに必要な動きを覚えることが大事になる」
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