「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第33回 おろしたての靴を履いて(18.4.25)

第33回 おろしたての靴を履いて

おろしたての靴を履いて外に出るときは、気分がウキウキする。もういいトシなのに、案外、こういうことは子どもの頃から変わらないものだ。おっさんになっても、うれしいものはうれしい。学校生活のように日々顔を合わせる人はおらず、誰に気づかれるわけでもない。ひとり、静かな喜びを胸に満たす。

服やバッグなど新しく身につけるものは心を浮き立たせるが、なかでも靴は特別だ。まだ足になじんでいない感触を認めつつ、地面をつかまえながら歩く。やや慎重に、一歩一歩。靴と自分、互いに探り探りのところがあり、もどかしさが楽しくもある。

そのふわふわした気持ちは、新加入選手のお披露目に立ち会うときの期待感に似たところがある。外見やおおよその特徴は把握していても、実際にゲームでのプレーを見るまでは輪郭がくっきりしない。その選手がこれからどのようにフィットしていくのか。そして、チームに新たな可能性をもたらすのか。手元に集まったいくつかの情報を組み合わせながら、先々の展望を描く。

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