「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第35回 瀬戸内の空の下 ~FC今治 楠美圭史~(18.7.4)

第35回 瀬戸内の空の下 ~FC今治 楠美圭史~

初夏の海風に吹かれる、FC今治のホーム『ありがとうサービス. 夢スタジアム』。昨年9月に開場して以来、機会を見つけて訪れてみたいと考えていた僕は、5月20日のJFL第10節、FCマルヤス岡崎戦に足を運んだ。

ゲームは7‐1で今治の大勝だった。景気よくゴールが決まり、スタンドはお祭り騒ぎである。試合後、お客さんがあらかた引けると、その日出番のなかった控え選手たちがピッチで居残り練習を行う。楠美圭史の姿もまたそこにあった。

2013年、楠美は東京ヴェルディユースからトップに昇格。同期には中島翔哉(ポルティモネンセSC)や安在和樹(サガン鳥栖)、前田直輝(松本山雅FC)、ポープ・ウィリアム(川崎フロンターレ)がいる。

2015年、出場機会を求め、JFLのヴェルスパ大分に期限付き移籍。2016年、東京Vに復帰し、当時の冨樫剛一監督が信念を持って使おうとしていたが、9試合の出場にとどまった。そのシーズンをもって契約満了となり、JPFAトライアウトを経て、JFLに昇格したばかりのFC今治に移籍。2017年は21試合2得点をマークし、今季で2年目を迎えている。

以上が簡単なあらすじだが、人の歩みはそうお手軽にまとめられるものではないだろう。日が傾きかけ、勝利の余韻が残るピッチでのシュート練習、アジリティ系のフィジカルトレーニング。ひいひい言いながら汗を流す楠美の様子は、ひらべったい経歴、その行間から立ち上がってくるものを想像させた。

 

『ありがとうサービス. 夢スタジアム』の上部からは今治港が一望できる。

『ありがとうサービス. 夢スタジアム』の上部からは今治港が一望できる。

この日、集まった観客は2,489人。目標は4,000人には届かなかった。

この日、集まった観客は2,489人。目標の4,000人には届かなかった。

7点も入れば、そりゃ大喜びに決まっている。

7点も入れば、そりゃ大喜びに決まっている。

僕はゴール裏のこの人が気になって仕方がなかった。戦国時代、日本一の水軍と謳われた村上海賊の大旗を掲げ、試合中微動だにしない。これから暑さが増すなか、黒づくめの甲冑姿で大丈夫か。誰かクールビズの提案を。

僕はゴール裏のこの人が気になって仕方がなかった。戦国時代、日本一の水軍と謳われた村上海賊の大旗を掲げ、試合中微動だにしない。これから暑さが増すなか、黒づくめの甲冑姿で大丈夫か。誰か、クールビズの提案を。

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